研究概要 |
岩盤開発を実践する技術者自身がパソコンとの対話を通じて最適の調査方法,予測解析方法,監視方法を選び,つぎにそれらの方法を用いて実際に調査や設計を行い,開発中や開発後の監視を行い得るように支援する知識データベースの提供をめざして,地下掘削等の設計や地下環境制御の設計の際に必要となる調査や予測解析の方法,予測解析に用いられる解析プログラム,開発が始まったあとのモニタリングの方法,モニタリングシステムの具体的な仕様など,多くの情報を収集した。これらを知識データベースとしてフロッピーディスクに集録し,つぎにこれらの知識データベースをバックグラウンドとして,エキスパートシステムを構築した。本システムには,調査,予測および監視のための方法を選択するシステムとそれを実際に行うのを支援するシステムとが備わっているが,情報を収集した段階では,予測解析に用いられる各種プログラムがオリジナルコードそのままの形で数多く収録されていて,それが飛び抜けて大きな知識データベースであるにもかかわらず,最も使い勝手の悪いものになっていた。そこで,変数名を統一し,かつ同一のスタイルで整理・統合し,各プログラムのバージョンアップを行った。また,不連続性岩盤に適用できる境界要素法による3次元弾性解析コード,すなわち,3角形要素分割による仮想応力法-変位くい違い法組み合わせ解析コードを組み込んだ。さらに,地下に大空洞を掘削する過程で問題となる対流をも考慮に入れた坑内気象予測解析コードを組み込んだ。これらの解析プログラムは,世界で初めて,本研究において開発されたものである。
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