研究概要 |
本研究では、合金の新しい製法であるメカニカルアロイング(MA)法を利用して,Ti-Al系金属間化合物焼結体を作製することを試み,その組織と機械的性質を主として高温での加工性の観点から検討した。まず最初にTi-50at%Al[TiAl(γ)単相材],Ti-30at%Al[Ti_3Al(α_2)単相材]およびその中間のTi-40at%Al,Ti-45at%Al[いずれも(γ+α_2)2相混合材]組成のMA粉末を作製し,これらを真空ホットプレス法により焼結し,それらの組織と圧縮による高温変形挙動を検討し,それらの検討結果をもとにして,2相混合材に注目した。そしてこれらについてより詳細な検討をするために,(1)Ti-45at%Al組成,ならびに本研究における究極の目的である,いわゆるTi-rich TiAlに相当する(2)Ti-48at%Al組成のMA粉末を多量に作製し,それらのHIP焼結体を作製し,これらについて,微細結晶粒超塑性材の観点から,引張による高温変形挙動を検討した。平均結晶粒径,d^^-は(1)の場合1.2μm,(2)の場合0.9μmであった。そして(1)では1273K,初期歪速度,ε^^・i=1.4×10^<-4>s^<-1>で最大破断伸び,405%,(2)では1323K,ε^^・i=5.6×10^<-4>S^<-1>の比較的速い場合に最大伸び,549%を得た。(2)について高温焼鈍により結晶粒成長させた試片を作り,定常クリープ速度の粒路依存性から粒路指数p=2を得たので,応力指数n=2の条件下での活性化エネルギーを求めると350KJ/moleという祇を得た。この値は格子拡散の活性化エネルギーQ_Lに対応するもので,この材料の超塑性喬形は,TiA1中の最も緩慢な成分の格子拡散に律則された粒界すべりにより進行するものと結論された。(1)についてはX線回析,分析TEMによる検討結果から,盤結前のMA粉末はA1過飽和なTi_3A1であり,その焼結過程で,これらが相分解して平衡組成の(α_2+γ)等軸微細二相混合組織になるものと考えられた。(2)の場合も同様の過程が想定される。
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