研究概要 |
サイクロトロン周波数をもつ高周波電磁場によって誘起されるプラズマ輸送に関して,平成3〜4年度に亘り以下に要約される成果を得た。 1.不均一サイクロトロン共鳴高周波の場合は,半径方向に振幅が増加する軸対称高周波電場中において,プラズマ粒子の案内中心は半径方向の外向きにドリフトすることが理論的に見い出された。 2.これを実証する目的で,Qマシーン磁化プラズマ中で電磁結合により軸対称(m=o)モードのイオンサイクロトロン周波数高周波電磁振動を励起した結果,アンテナ直下において大規模なプラズマ膨張・収縮現象が観測された。この現象は印加高周波の時間スケールで周期的に発生していて,磁場に垂直方向のイオン温度もこの時間スケールで上昇と下降を繰り返し高エネルギーイオンはプラズマ中心とアンテナ端を周回運動して,遂にはアンテナ打撃に到る径方向の外側に向かうイオンドリフトが発生していることがわかり,上記1との定性的一致が見られた。 3.この実験において,近傍高周波が減衰しているアンテナから離れたプラズマ柱の下流域では,高エネルギーイオンはプラズマ柱の中心部に集中していると同時に,密度分布は定常的に中心ピーキングしていることが観測され,イオンの半径方向内側ドリフトの発生が示唆された。 4.これを説明するために,進行するサイクロトロン周波数高周波によるプラズマ粒子ドリフトの発生機構を考え,摂動法による解析解を得るとともに式を用いずに物理的描像を得ることに成功し,その理論を完成させた。この結果,サイクロトロン周波数をもつ高周波が磁場に垂直方向に進行するときには,その伝搬方向と磁力線の両方に垂直な方向にプラズマ粒子がドリフトすることがわかった。 5.現在アンテナアレイの製作を終え,今後は,円周方向に進行する高周波による径方向のプラズマ輸送制御の実験を開始する計画である。
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