研究概要 |
本研究は,希ガス準安定原子と分子との反応により生成する非発光性の化学種を検出・定量する方法を確立し,反応過程及びダイナミックスを明らかにすることを目的とした.希ガス準安定原子生成のための直流ホローカソード放電部,標的分子との反応室,多光子イオン化のためのレーザ照射部及び飛行時間型イオン検出部から成る装置を試作した.レーザにはエキシマーレーザ(XeCl)励起色素レーザを,イオンの飛行時間測定にはリフレクトロンを用いた.ベンゼンの^1B_<2u>状態,トロポロンの^1B_2状態及びH_2Oの^1B_1状態を経由する共鳴多光子イオン化スペクトルを測定し,装置の性能を確認した.この装置を用いてAr(^3P_<2,0>)とCH_4との反応により生成すると予測されるCH_3及びCH_2ラジカルを(2+1)あるいは(3+1)共鳴多光子イオン化により,それぞれ,CH_3^+,CH_2^+イオンとして検出することを試みた.しかしながら,この装置ではCH_3,CH_2の検出は困難であった. (a)Ar(^3P_<2,0>)+CH_4→CH_3+H+Ar →CH_2+H_2(2H)+Ar (b)CH_3→CH_3(3p^2A_2")→CH_3^++e^-,レーザ波長:350〜430nm CH_2→CH_2(Rydberg状態)→CH_2^++e^-,レーザ波長:380〜440nm そこで,希ガス準安定原子生成のための放電部を直流パルス放電に変えた装置を新たに試作した.ホローカソード放電に比べて,希ガス準安定原子を高濃度で反応室に導入できることを確認した.新しい装置を用いてAr(^3P_<2,0>)/CCl_4反応により生成するCClラジカルの共鳴多光子イオン化による検出を検討した.この装置のさらなる高感度化を試みている.さらにAr(^3P_<2,0>)とメタン,ハロメタン及びシラン類との反応により生成する基底状態のCH,CClあるいはSiHラジカルの生成断面積をレーザ誘起蛍光法を用いて決定した.
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