研究課題/領域番号 |
03453030
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
稲津 孝彦 九州大学, 理学部, 教授 (60037207)
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研究分担者 |
武村 裕之 九州大学, 教養部, 助手 (60183456)
末永 正彦 九州大学, 理学部, 助手 (70216274)
新名主 輝男 岡崎国立共同研究機構分子科学研究所, 助教授 (90037292)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1992年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1991年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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キーワード | 渡環π-π相互作用 / アヌレノファン / シクロファン / アヌレン / 反芳香族化合物 / 芳香族化合物 / 半経験的分子軌道法計算 / MOPAC / 渡環πーπ相互作用 / シアナミド / 1,6ーメタノ[10]アヌレン |
研究概要 |
合成開始と同時に、(4n)π系のモデルとしてシクロブタジエン(n=1)とシクロオクタテトラエン(n=2)を用い、これらの分子の構造を平面に固定した状態で完全に重なり合うように接近させた場合に、渡環π-π相互作用がどの程度系を安定化させるか、半経験的分子軌道計算法であるMOPACを用いて見積った。その結果、二個の(4n)π系が接近するにつれて生成熱が小さくなり、系は熱力学的に大きく安定化する事が予測された。一方、ベンゼンやシクロデカペンタエンなどの(4n+2)π系どうしの相互作用は、系をわずかに不安定化させる事がわかった。本来不安定な(4n)系アヌレンでも二個重ね合わせる事により、比較的大きな安定化が期待できるという計算結果は、(4n)π系を二個つないだアヌレノファンが比較的安定に存在し得ることを示唆している。 まず、(4n+2)(4n+2)π系の相互作用を調べる目的で10π系の1、6-methano[10]annuleneを含む[3.3]シクロファン類の合成を計画した。種々の環化反応を検討した結果、シアナミドのジアルキル化を用いると、温和な条件下でブロモメチル化合物が容易に環化してジアザ[3.3]アヌレノファンを与えることがわかった。二個のアヌレンからなるアヌレノファン類の合成は報告例がなく、今回合成した化合物が最初の例になる。(4n+2)π系をさらに拡張した14π系の15,16-dihydropyreneを含むシクロファンの合成も進行中である。 一方、上記の研究と同時進行で(4n)(4n)π系の相互作用を調べるためのモデルである12π系の8b,8c-diazacyclopent[fg]acenaphthylene単位二個を[3.3]シクロファン骨格に組み込んだ化合物の合成にも着手し、現在、環化反応の前駆物質であるビスブロモメチル化合物の合成を行なっている。今後、これらの化合物の合成が終わり次第、実験結果および理論計算の両面から渡環π-π相互作用について詳細に検討する予定である。
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