研究概要 |
2-(クロロメチル)ピリジンおよび2,6-ビス(クロロメチル)ピリジンの酸化的付加に関するこの研究の結果は以下の通りである. 1 トルエン中,100℃で2,6-ビス(クロロメチル)ピリジンをPd(PPh_3)_4に酸化的付加させ,2-(6-クロロメチル)ピリジルメチル基がC,N-架橋した複核Pd(II)錯体1および2,6-ジメチルピリジン-α,α'-ジイル基がC,N,C'-架橋した横並び型4核Pd(II)錯体2を得た. 2 錯体2は単離された錯体1の2核錯体にPd(PPh_3)_4を反応させても得られるが,この合成法を適用してパラジウム-白金から成るヘテロ金属4核錯体3の合成に成功した.しかし,この錯体にはヘテロ原子の組合せによる3種の異性体が存在するが,その分離には成功していない. 3 4核錯体2は,内側と外側のそれぞれ2つのPd中心で異なる配位環境にあり,配位子置換反応やその他の反応の様子が異なることを,トリフルオロ酢酸銀,ジホスフィン,Tl(acac)との反応等で明らかにした. 4 一方,2-(クロロメチル)ピリジンおよび2,6-ビス(クロロメチル)ピリジンとウイルキンソン錯体RhCl(PPh_3)_3との反応の場合には,トルエン中,室温で2-ピリジルメチル基および2-(6-クロロメチル)ピリジルメチル基がC,N-キレート配位した単核シス(PP)-Rh(III)錯体4-cis,5-cisが,また還流下では4-trans,5-transが得られた. 5 単核錯体5-cisに更にウイルキンソン錯体を反応させる,あるいは,2,6-ビス(クロロメチル)ピリジンに2当量のウイルキンソン錯体を反応させることにより,2,6-ジメチルピリジン-α,α'-ジイル基が一方のRh中心にC,N-キレート配位し,他方にη^3-1-azaallyl型配位しためずらしい複核Rh(III)錯体を得た.
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