研究概要 |
1.リップマン乳剤を基にして,ホログラフィ用超微粒子乳剤を調製するための処方,乳化条件,脱塩方法,増感法を検討した結果,つぎの知見が得られた。 (1)塩化銀20%,臭化銀80%の塩臭化銀乳剤をオルソ増感したものが,平均粒径,写真特性,感度の点で有利である。(2)抑制型ゼラチンを使用し,過剰ハロゲン塩量がほぼ0に近い条件下で,同時混合方式でできるだけ短い混合時間で乳化させるとよい。(3)わずかな物理熟成の進行でも平均粒径を大きくすることから,乳化終了後直ちにアルコール脱塩方式で凝集し,水洗するとよい。(4)亜硫酸ナトリウムによる化学熟成で,平均粒径や粒度分布,特性曲線の形状を変えることなく,効果的に増感できる。 2.銀-ゼラチン比,乳剤層の厚さ,硬膜度が,ゼラチン硬化型位相ホログラムの画質(回折向率とSN比)に与える影響を調べた結果,つぎの知見が得られた。いずれも,記録した干渉稿に不要な歪みを与えない条件を保つ必要があることを示唆している。 (1)乳剤層は,ある程度の硬膜が必要である。(2)塗布厚は10μmぐらいが良い。(3)塗布銀量は必要最小限にした方がよい。(4)乳剤層の塗布の均一性と塗布面の平滑性が重要な因子となる。 3.タンニング漂白液の組成変化,処理工程の変化などの影響を調べ,その機構を検討した結果.つぎの知見が得られた。 (1)タンニング漂白では,Cr^<3+>生成速度とゼラチン架橋速度のバランスが重要となる。(2)漂白反応で生成したCr^<3+>の拡散を抑制するため,稀釈使用液は硫酸塩を加えて飽和状態にするとよい。(3)記録した干渉稿に不要な歪みを与えないように,中間定着や中間乾燥などは行わない方が良い。
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