研究概要 |
1.高温でのホール係数測定装置の製作 高温での導電機構の解明にはキャリア濃度と移動度の独立した評価が必要となるが、既往の4端子導電率測定では移動度とキャリア濃度を分離することができない。そこで,1000℃までの種々の酸素分圧下で測定できる装置を試作した。試料は焼結法により円板状に作成し,これを厚さ0.3〜0.4mm,クローバ型に加工した後,白金線を白金ペーストで固定し,600℃で焼きつけ後、炉冷した。Van der Pauw法により200℃〜1000℃までの範囲で測定できる。(La,Sr)FeO_3について測定をし,試料の形状による誤差電圧の影響をさけるため,電流の正負を切り換えて測定をおこない,更に,磁界の向きを反転させて電圧を測定し,その差の1/2をホール電圧として材料の評価をおこなった。 2.SbドープBaSnO_3の熱電性能 Snのサイトを一部Sbで置換することにより,電気伝導度が10^<-8>から10^2S/cmと約10^<10>倍上昇することを発見した。ドープ元素をTa,Nb,Sbと変えたが,Sbが最も高い伝導度を示した。伝導度とゼーベック係数の測定からSbドープBaSnO_3は500℃までは不純物によるextrinsic電気伝導,より高温領域ではintrinsic電気伝導が起こる。Sbが5価としてSnサイトに入り,キャリアを生成させることが分った。これらの結果から高温でのかなりの熱電性能を示すことが判明した。 3.高熱電性能 熱電性は電気伝導度とゼーベック係数の積で与えられ,今後,ゼーベック係数の検討がより重要となる。キャリア濃度の他に,散乱因子や状態密度などの知見が必要である。
|