研究概要 |
複合強化されたセラミックスの構造特性の評価に関係して,的確な評価手法の適用基準を明確にすること,並びにその評価結果を使って強化機構を分類・体系化することを目的として,我々は,セラミックスおよびセラミックス基複合強化材料の破壊力学的評価基準を,およそ以下の三つの分類を念頭に置いて整理することを提案した. 1.脆いセラミックス(破壊靭性値が5 MPa m^<1/2>以下で,強化機構が働いていないもの) 2.強化されたセラミックス(見かけの破壊靭性値が5〜10 MPa m^<1/2>程度で,き裂の進展と共に強化機構が発現するもの) 3.破壊が主き裂によって支配されていないセラミックス(主に長繊維強化系に見られるように,強化機構が破壊挙動そのものを支配しているもの) 以上の分類を基礎として,1については,従来の線形破壊力学的手法を注意深く適用すること,また2については,線形破壊力学に加えて弾塑性破壊力学的手法を活用して,R曲線等の手法で強化挙動を評価すべきことを提案した.そしてその際にも,R曲線の立ち上がりのK値は極めて低いから,き裂進展開始の基準となる予き裂の調整には,十分の注意が必要であり,例えば注意深く調整したノッチドビーム法等は,もっと見直されるべきであると主張した.さらに3については,この種の材料にとっての今後の開発動向に待たねばならない部分も大きく,現時点で早急な結論を出すべきでないと考えるが,その破壊挙動が繊維強化プラスチック(FRP)や繊維強化金属(FRM)に極めて近いことに鑑み,破壊エネルギー論を念頭に置いた評価手法を確立すべきであると考えた.
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