研究概要 |
電解法による高率的なポリシランの合成ルートについて検討し、無隔膜セル中でジメトキシエタンを溶媒、銀または銅を陽極、過塩素酸テトラブチルアンモニウムまたはテトラフェニルボレートを支持塩とする系で各種クロロシラン類の電解還元を行えば、Si_2-Si_5のポリシランオリゴマーが選択的に高収率で得られることを見いだした。また、ジシラニレン系ポリマーの電解合成も行なった。1,2-ビス(クロロメチルフェニルシリル)エタンを銅を陽極、白金を陰極、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートを支持塩として電解還元し、主鎖にシロキシ結合を全く含まない分子量120,000のポリジシラニレンエチレンを17%の収率で得ることができた。本電解系はジシラニレン系ポリマーの一般的な合成法として有用であり、1,2-ビス(クロロメチルトリルシリル)エタンからは分子量25,000のポリマーを、またp-ビス(クロロメチルフェニルシリル)ベンゼンからは分子量6,100のポリマーを各々45%および19%の収率で得ることができた。 また、ジチエニルジシランの陽極酸化によりドーピング状態のポリマーを一段で得る可能性についても検討したが、得られたポリマー中のケイ素含量および電導度は低かった。今後の検討が必要である。 またヒドロシラン類のクロロシランへの選択的変換についても検討した。フェニルシランをエーテル中室温で、触媒量のヨウ化銅(I)存在下に2等量の塩化銅(II)と反応させると、クロロフェニルシランが70%の単離収率で得られた。また4等量の銅試薬との反応ではジクロロフェニルシランが66%の収率で得られた。また本反応系はジヒドロジシラン類の選択的クロル化にも適用できた。このように、従来困難であったポリヒドロシラン類の選択的クロル化が、温和な条件下で選択的に達成できる反応系を開発できた。
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