配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1991年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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研究概要 |
平成3年度は,高機能の長期発現が可能なスフェロイド培養と膜上サンドイッチコラーゲンゲル培養という2つの培養技術について基礎的な培養条件を明らかにした. 平成4年度は,スフェロイド培養を利用した人工肝臓モジュールの製作に目標を絞って研究を進めた.スフェロイドを大量形成し,高密度固定化するというモジュール製作法のために,平板上での浮遊スフェロイドの選択的形成のための培養条件を設定すると共に,浮遊スフェロイドを平板上に再付着固定化するのに適した表面特性を明らかにした.さらに,スフェロイドの大量迅速形成が,浮遊懸濁培養によって可能であることを示した.また,患者血漿潅流条件下では,コラーゲンゲル包括法がスフェロイドの安定機能発現に最も望ましいことも併せて明らかにした. 平成5年度は,平成3・4年度の研究成果に基づき,肝細胞スフェロイド/コラーゲンゲル-ホローファイバー型の人工肝臓モデルを製作した.既往のモジュールと同程度の性能が得られるに留まったが,100%血清潅流条件でも機能低下がほとんど見られなかったことから,臨床応用での高い安定性が示唆された. 以上,近年の優れた培養技術を利用して人工肝臓モジュールの開発を行う上でのいくつかの重要な課題について,工学的視点から一定の成果を上げることができたと考えているが,一方で工学では到底明らかにしえないいくつかの重要な問題の存在がより明らかとなった.本モジュールの他にも,優れた成績を示しているタイプがここ数年で出揃ったようである.しかしながら,未だ死に至る機構が判明していない肝不全時において,どのタイプが有効であるかについての判定は,動物実験での結果を待つしかないと思われる.医学と工学の連携が,まさに求められていると考えられる.
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