研究課題/領域番号 |
03453147
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産化学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
関 伸夫 北海道大学, 水産学部, 教授 (20002090)
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研究分担者 |
埜澤 尚範 (埜沢 尚範) 北海道大学, 水産学部, 助手 (20221484)
今野 久仁彦 北海道大学, 水産学部, 助教授 (20111164)
新井 健一 北海道大学, 水産学部, 教授 (20001597)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1992年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1991年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | トランスグルタミナーゼ / 酵素 / タンパク質ゲル / 魚肉タンパク質 / ねり製品 / 重合 / 坐り / ミオシン / トランスグルタミナ-ゼ / タンパク質 / ゲル形成能 / 架橋重合 / ミオシンB |
研究概要 |
1.トランスグルタミナーゼ(TGase)はタンパク質を共有結合的に架橋重合させる酵素であるが、11種の水産動物筋肉での分布と含量を調べたところ、2.4-0.1unit/gの活性が検出され、動物の種類で含有には違いがあったが広く分布していることが明らかになった。この中からコイとホタテ貝柱の筋肉の酵素を部分精製し、性状を比較したところ、コイ由来の酵素は分子量80,000のCa^<2+>依存酵素で、触媒機能ともに既知の哺乳動物肝臓由来酵素と類似していたが、ホタテの本酵素はKm値、Ca^<2+>要求性などの点で顕著な違いが認められた。コイ筋肉から精製した酵素を用い各種魚類筋肉のアクトミオシンに対する架橋重合量を比較したところ、アクトミオシンの由来により大きな相違があり。スケトウダラ、ニジマスなどは架橋重合され易く、コイは、され難いことがわかった。すなわちTGaseによる架橋重合はアクトミオシンの構造の魚種特性を反映していることが示唆された。 2.日本の伝統的食品である、ねり製品はその製造工程中に坐りという技法があり、最終製品の性状を決定する重要な工程である。魚種による坐りゲル形成は魚肉中のアクトミオシン(ミオシン重鎖)の架橋重合の速度と度合いに依存するが、本研究ではこの反応が魚肉中のTGase含量とそのアクトミオシンの反応性とに依存している酵素反応であることを初めて明らかにした。肉糊の酵素架橋重合は1価陽イオンの種類と濃度による影響を受けKCl中よりは0.2M以上のNaCl中で良く起こった。NH_4Clは坐りゲルの形成を強く阻害した。肉糊中の遊離カルシウムイオンは酵素の活性化剤であるが、肉糊を水のばしした際の架橋重合反応の律速因子であった。本研究の成果は伝統的なねり製品の製法に対して酵素反応の関与という新しい視点が必要であることを指摘した点にあり、今後の製法の改良やゲル化食品の開発に役立つことが考えられる。
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