研究概要 |
鋳造機や鋳型在の改良によって純チタン鋳造冠の製作が可能となった。チタンはよく知られているように,耐食性および機械的強度に優れ生体親和性にも優れており,しかも金合金よりはるかに経済的である。さらに純チタンは金合金とニッケル-クロム合金との中間程度の機械的性質を持ち,そしてこれらの合金よりもサグレジスタンス(高温時におけるたわみ抵抗性)高い特徴がある。しかしながらこれまでは陶材焼き付け用としては用いられてこなかった。なぜならば熱膨張が小さいためと高温時に非常に早く酸化してしまうため強い結合が得られなかったのである。 陶材焼成時における陶材とチタンとの界面反応を明らかにするため,焼成した陶材を機械的に剥離し,X線マイクロアナライザ(EPMA),X線回折およびフリーエ変換赤外分光光度計(FTIR)により分布した。760℃までの昇温を3回繰り返し焼成した場合,破壊面は部分的に陶材が付着した金属界面であった。 元素分析の結果,金属との界面ではKの濃度が少し高く,反対にAlやMgはほとんど検出されなかった。Kはそのすぐ内側では欠乏層があり,変質層と考えられる。またTiの陶材側への拡散はおよそ3mumまでであって,4mumエッチングではほとんど検出されなかった。また金属側には酸素以外の元素は確認できなかった。 陶材側の結晶学的測定により,SnO_2が減少し,beta-Sn(金属スズ)の回折線が認められ,界面で酸化還元反応が起こっていることが推定される。760℃で2分係留した場合,陶材界面にかなり多量にTiO_2が生成していることが確認された。
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