配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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研究概要 |
我々は既に2-位、または3-位置換ピロールを出発原料とし、ベンゼン部ポリアルキル置換インドール類の一般合成法を確立した。本研究ではこの新方法と光学活性な原料化合物とを組み合わせ、生理活性インドール系天然有機化合物の光学選択的合成に関し次の如き成果を得た。 1.(6R,8S)-Herbindole A,(6R,8S)-Herbindole B及び(6R,8S)-Herbindole Cの合成と天然物の絶対配置決定 これらのHerbindole類は西部オーストラリア産紅色スポンジの成分で、殺細胞作用を示し、魚類に対して食餌忌避作用を持つ化合物である。キラルなDiels-Alder付加体より上記の物質を合成し、天然Herbindole類の絶対構造を確定した。2.(6R,8S)-cis-Trikentrin B,(6R,8R)-trans-Trikentrin B及び(6R,8R)-iso trans-Trikentrin Bの合成と天然物の絶対配置決定 Trikentrin類はオーストラリア近海で採取された海綿の成分であり、グラム陽性菌に対し抗菌作用を示す。既に我々はTrikentrins A類の絶対配置の決定を合成的に行ったが、本研究では上記Herbindole類合成の中間体より題記物質を合成し天然Trikentrins Bの絶対構造を決定した。3.Hapalindole Oのキラル合成 Hapalindole類は藍藻の一種より単離された抗菌性及び抗かび性のインドール誘導体であり、我々は既にHapalindoles H,J,M,Uのラセミ合成を報告した。今回(R)-(-)-カルボンをキラル源に選びHapalindole Oの合成を完成した。4.改良法によるPendolmycinのキラル合成Pendolmycinは上皮成長因子により誘起される燐酸化イノシトール代謝回転のインヒビターとして単離されたインドール化合物である。従来の合成法を改良し、問題の部分へ光学活性アミノアルコールを組み込みPendolmycinの立体制御合成を実施した。5.Mitomycin類縁体のキラル合成 マイトマイシン Cは生体内でAziridinomitoseneへ変化し作用を発現する。我々の方法で合成した4-Hydroxyindole体へアミノ酸由来の側鎖を伸長しMitosene類縁体を合成した。6.Duocarmycin SAの合成 Duocarmycin SAは放線菌の一種より単離された強力な抗腫瘍性抗生物質である。そのラセミ合成中間体を光学分割してDuocarmycin SAの両対象体を合成し、非天然物も強い抗腫瘍活性があることを示した。
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