研究課題/領域番号 |
03454008
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大森 正之 東京大学, 教養学部, 教授 (80013580)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1991年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | ラン藻 / アデニル酸シクラーゼ / cAMP / Anabaena / Spirulina / アミノ酸 / 遺伝子 / DNA / クローニング / タンパク質 / シグナルペプチド / Spirulina platensis / 細胞運動 / IBMX / cya遺伝子 / コンブ / ワカメ / cGMP / 情報伝達 / リン酸化反応 / 褐藻 |
研究概要 |
ラン藻Anabaenaの細胞内cAMPが、明、暗、pHなどの細胞外環境の変化に対応して急激に変化することを明らかにした。またcAMP合成酵素であるアデニル酸シクラーゼおよび分解酵素であるサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性を測定した結果、AnabaenaおよびSpirulinaでは二つの酵素活性とも十分に存在が認められた。さらに、褐藻の遊走子細胞には、cAMPに依存したプロテインキナーゼ活性が存在することが明らかとなった。 糸状性ラン藻Spirulina platensisの細胞懸濁液にcAMPを加えて、細胞の運動を観察したところ、cAMP添加により顕著な細胞運動の促進が見られた。同時に細胞は凝集を始め、10分以内にマット状の集合体を形成した。細胞懸濁液にcAMP分解酵素のホスホジエステラーゼの阻害剤であるIBMXを与えたところ、細胞内のcAMP量は急激に増加した。同時に細胞の運動速度も増加した。この実験結果から細胞内のcAMP濃度の上昇が運動促進のシグナルになっていると推測した。cAMPの添加は呼吸を促進することが観察されたがIBMXによっても呼吸の促進が見られた。すなわち、cAMPの上昇→呼吸の増加→運動の促進のような関係が推定された。 アデニル酸シクラーゼ欠損(cya^-)の大腸菌のラクトースの発酵を相補するAcylindricaのDNA断片を単離することができた。更に、このDNA断片の挿入によりcya^-の大腸菌にcAMP合成能力を賦与することに成功した。このDNA断片をサブクローニングすることにより、マルトース発酵能を回復させる領域1.8kbを同定し、塩基配列の決定を行った。この領域には1,506bp、502アミノ酸残基からなるタンパク質をコードするオープンリーディングフレームが見い出された。ラン藻のアデニル酸シクラーゼが、原核生物よりは、真核生物型に近い構造を示すことから、ラン藻にも真核生物に類似したcAMP依存性信号応答機構が存在する可能性が示された。
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