研究課題/領域番号 |
03454017
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | 東京理科大学 (1993) 北海道大学 (1991-1992) |
研究代表者 |
久田 光彦 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (70000768)
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研究分担者 |
長山 俊樹 北海道大学, 理学部, 助教授 (80218031)
藤井 志郎 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (80156819)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1992年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | フタホシコオロギ / 配偶行動 / 音源定位 / 発音器 / 求婚歌 / 聴覚 / 視覚 / キチン硬化 / 定位行動 / キチン / 聴覚ニューロン / フェロモン / 鳴声周波数 / クロコオロギ / 動物行動 / ニュ-ロンネットワ-ク / 球型トレッドミル / 誘引歌 / 細胞内記録法 / 介在ニュ-ロン |
研究概要 |
フタホシコオロギ(Gryllus bimaculatus)雌の音源定位行動と、雄の求婚歌発生機構について研究した。 1。行動自動記録解析装置の改良:装置の感覚刺激装置部分を改良した。聴覚、視覚刺激を同時に与えるようスピーカーの前方にコオロギを囲う形でスクリーンを置き、いろいろな大きさの像を投射し行動を記録した。 2。視覚の関与:大きな視野角を持った暗色の像に定位し接近することが確かめられた。さらに近距離にある自己と同大の暗色像に定位接近した。これは雌の視覚も雄の認知に関係していることを示している。大きな暗色像は隠れ場所と認識されている。生理学的な研究は今後の課題である。 3。求婚歌と聴覚:FFT分析にの結果、完全成体の求婚歌は基本周波数5。7kHz付近にピークを持つ。また、雌の聴覚器、およびこれに続く種特異音の統合弁別ネットワークは、5.7kHz付近にチューン(同調)している。 4。成虫羽化後の発音機構の発達:新しい事実が見いだされた。FFT分析によると、2日目鳴き始めでは、求婚歌の基本周波数は低く、3kHz付近にある。その後、徐々に上昇し、6〜7日目になって5.7kHz付近で安定する。また最大音圧も60db付近から80db付近まで増大するこ。 5。キチン硬化:キチンの硬化が進行し、羽根の物理性状が変わることによって固有振動数が上昇し、基本周波数を押し上げると推測された。この推測の検証に、X線回折、FTIR(赤外分光)測定を試みた。β-キチンのα化が進行すると考えられる結果を得た。 6。今後の方針:最も生物学的興味を抱かせるのは、キチンの硬化現象とこれに伴う行動のレパートリー変化、また、その内部機構として変化を支える神経系上の経時変化の同調性である。今後は、生物の発生と適応の一般現象として扱うとともに、内部機構、ことに神経ネットワークの回路構成、動作様式に起こる変化を追求する必要がある。
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