研究課題/領域番号 |
03454022
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
八杉 貞雄 東京都立大学, 理学部, 教授 (70011591)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 遺伝子発現制御 / ペプシノゲン遺伝子 / 胃上皮細胞 / 上皮-間充織相互作用 / DNAメチル化 / レポーター遺伝子 / ニワトリ胚 / 前胃上皮細胞 / 遺伝子導入 / RT-PCR法 / ゲルリタ-デ-ション法 / 胃上皮 / 上皮ー間充織相互作用 |
研究概要 |
本研究の目的は動物の胚発生過程において、時間的空間的に限定された遺伝子発現の制御機構を分子レベルで明らかにすることである。本研究ではこのような観点にたって、ニワトリ胚胃(前胃)の上皮細胞にのみに発現することが繰り返し確認されているペプシノゲン遺伝子(ECPg遺伝子)について、その発現調節機構の解明を目指した。3年間の研究によって得られた主な成果は以下のとおりである。 (1)実験発生学的研究から、ニワトリ消化器官のうち前方の食道、前胃、砂嚢の上皮にはECPg産生能が存在し、食道と砂嚢の間充織の抑制作用によって、正常発生では前胃上皮のみにECPgが発現するのであると結論された。またある種のケラチンの発現も間充織の作用によって調節されていることが明らかになった。 (2)ECPg遺伝子のDNAの脱メチル化が前胃での盛んなECPg発現を保証していることが示唆された。(3)新たに考案したcell aggregate culture法を用いてECPgの5'上流域の調節作用を調べた。前胃及び砂嚢間充織の作用は、ECPg遺伝子の5'上流1kbpの領域を通じて伝えられることが分かった。 以上に述べた成果からニワトリ胚消化器官の分化、とくにECPgの発現について、かなり具体的な現象の系列を考えることができるようになった。発生の初期に(内胚葉成立後まもなく)消化管を構成する内胚葉は、おおまかに、ECPg発現能を持つ前方領域とそれを持たない後方領域に分化する。これ以後ECPgの実際の発現と産生は、間充織の微妙な調節下におかれ、食道と砂嚢では間充織の強い抑制作用によってその発現が抑えられる。ECPgの器官特異的な発現はDNAの脱メチル化によって二重保証的に安定化される。今後はECPg遺伝子の5'上流域に結合するトランス作用物質の同定と、その発現に対する間充織の作用を知ることが重要な課題となるであろう。
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