研究課題/領域番号 |
03454030
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 賛 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (20161565)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1992年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1991年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 霊長類 / 樹上性 / ヒト / 曲げ強さ / 哺乳類 / 後肢優位 / 断面形状 / アロメトリー / 四肢骨 / ロコモ-ション / バイオメカニクス / 力学的適応 / 二足歩行 / ポジショナルビヘイビア |
研究概要 |
ヒト、ヒトを除く霊長類、霊長類を除く四足性哺乳類計148種の四肢長骨を計測して、体重との比較において検討を行った。また長骨の形からみた丈夫さを調べるために、同じように40種において上腕骨および大腿骨の中央断面形状の計測も行った。大部分の計測項目においてアロメトリーを調べると同一体重で比較した場合、霊長類は一般の哺乳類と比べて骨が長く、骨体も骨端も太く、骨体が丈夫な長骨をもっていることが示された。多数の計測項目を総合的に調べるために体重で基準化して主成分分析を行ってみると、霊長類は一般哺乳類と分離したグループをつくる。ヒトはこの霊長類のなかにはいる。これは霊長類が四肢長骨において、長さと骨端径が大きく、後肢が大きいという特徴をもつためである。霊長類と一般哺乳類との2グループ間境界近くには、地上性の強い霊長類と、樹上性の強い一般哺乳類とが分布する。一方、完全に地上性生活を行う有蹄類は霊長類と対極に分布する。この結果は霊長類の樹上というすきまの多い三次元空間での生活がこのような骨格上の特徴と結びついていることを示している。哺乳類の骨格の丈夫さについては先に挫屈に抵抗する丈夫さをもつという説が出されているが、今回の計測値からはこれを支持しえない結果が出ている。体重と比べた骨格の丈夫さはむしろ曲げに抗する適応として考えられることが示された。ヒトはこのような哺乳類全体として、次いで霊長類としての骨格上の特徴の上に、後肢を特に発達させ得たものと考えられる。
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