研究概要 |
モモ果実の糖濃度は降雨などにより低下すると考えられている.もし,そうであれば,水の流入を抑制することにより糖濃度の低下を防げるはずである. そこで,モモ果実の肥大生長をアクリルパイプをかぶせて制限し,体積の90%以上を占める水の流入を抑制した. その結果,果実への乾物の転流も抑制されたが,抑制が始まった直後,乾物抑制の程度は水の抑制程度に比べて小さい時期があった.その他の期間では両者の抑制の程度は差がなかった.最終的には肥大を抑制した果実では乾物率及び糖濃度は無処理果実に比べて高くなった. 処理果実と無処理果実の差は年次や場所が異なっても明らかに認められたが,処理果実の糖濃度が一定になることはなかった. 葉果比を人為的に変えた場合でも,処理果実の糖濃度には変化が見られなかった.この結果同化産物の供給の差は影響していないと推測された. サイクロメーターによる測定によって求めた膨圧は,処理果実と無処理果実の間で異なることはなかった.膨圧は成熟とともに低下した. アクリルパイプで肥大が制限された果実組織の圧力を測定する装置を作成した.キュウリ及びモモ果実において,ともに膨圧は日変化を示し,日照量の影響が大きく認められた.
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