ナナホシテントウについて休眠の生理機構を以下の如く追求した。 (1).休眠特異的タンパクの性状:休眠成虫の血液中に出現する特異的タンパクは、SDS-PAGEにより分子量約10万と約5万のペプチドが結合した分子量約15万の糖タンパクと推定された。 (2).休眠の内分泌支配:脳の内分泌細胞につい電顕観察の結果、中央神経分泌細胞群のA細胞中の内分泌顆粒は夏眠に伴い減少し、活動期に増加したことから、A細胞が生殖支配の内分泌中心としての役割を果し、アラタ活性を制御していることが推測された。 (3).休眠期における卵巣の微細構造の変化:夏眠に伴い3胞細胞間隙は閉ざされ、卵母細胞表層での微絨毛による卵黄タンパクの飲作用的吸収はみられなくなり、活動期及び越冬期とは異なる形態変化を示した。 ナミテントウについて休眠の生理機構を以下の如く追求した。 (1).休眠特異的タンパクの性状:SDS-PAGEにより分子量約9万の糖タンパクが越冬に伴い血液中に出現した。 (2).休眠の内分泌支配:脳の内分活性について光顕観察の結果、中央神経分泌細胞のA細胞は越冬に伴い内分泌顆粒が減少したことから、越冬休眠の内分泌支配中心としての役割を果していることが推定された。 (3).休眠誘起条件:秋期の低温条件下で飛行活動が刺激され、越冬地への飛行が開始され、白色物体を中心に集合し越冬に入る状況を確認した。 ナナホシテントウとナミテントウの大量飼育実験:豚肝臓、鶏卵白について餌のアブラムシの代替餌効果を調べた所、良好な生育効果を示したが、産卵に到らなかった。両代替餌摂食個体の血液中には、休眠個体の電気泳動パターンとは異なるタンパク質が存在しており、両者は生殖休眠よりも栄養障害により卵巣発育が抑制されていると推測された。
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