研究概要 |
1.クスサンに食害されたモミジバフウの生育 クスサンに全葉が食害されたモミジバフウは1本も枯れなかったが,成長減退は,食害年に直ちにあらわれ,年成長量は約1/2または以下であった。被害翌年には85〜90%に回復し,成長の回復が早いことが明らかになった。また,モミジバフウ幼齢木を用いた生育期における摘葉試験により,1回の全葉摘葉,2回連続摘葉で枯れず,クスサン食害木の事例とあわせて,モミジバフウは生育期における摘葉に対して,強い抵抗性をもっていることが明らかになった。 2.ラカンマキの生育におよぼす摘葉の影響 ラカマンキは生育最盛期である7月下旬〜9月中旬における一度の全葉摘葉で多くの個体が枯れること,さらに生き残った個体でも約50日後の再摘葉により,枯死率が高くなることが確認された。また,たとえ生き残っても摘葉後の成長減退は大きく,摘葉後直ちにその影響があらわれ,翌年の成長も無摘葉木に比べて1/2以下で,摘葉3年後の樹体には大きな差があらわれた。 3.ストローブマツ林における食葉性昆虫の虫糞量 12年間にわたって集められたリターフオールを調査した結果,食葉性昆虫類の年間の虫糞落下量は70.5〜272.8Kg/ha(平均137.6Kg/ha)であった。健全で昆虫類の生息を目視することができなかったストローブマツ林でも、恒常的な昆虫類の生息を確認した。これらの食葉性昆虫類による推定される食害量は、ストローブマツ林の年落葉量の3〜10%で,葉齢が2〜3年の調査林分の食葉性昆虫類による被害は無いに等しいものであった。
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