研究課題/領域番号 |
03454169
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福本 学 京都大学, 医学部, 助教授 (60156809)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1992年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 発癌 / 遺伝子増幅 / ヒト癌 / サザーンハイブリダイゼーション / In-situハイブリダイゼーション / ゲ-ル内再会合法 / ノ-ボンハイブリダイゼーション / RT-PCR / ゲル内再会合法 / ノーザンハイブリダイゼーション / サザ-ンハイブリダイゼ-ション / Inーsituハイブリダイゼ-ション |
研究概要 |
1.本邦の卵巣癌に有意な遺伝子増幅はみられなかった。また、c-myc遺伝子の発現は漿液性腺癌に高い傾向がみられ、臨床病期のIII期に最も高く、IV期では有意に減少した。epidermal growth factor receptor(EGFR)関連遺伝子である。erb-B2とerb-B3は発癌初期に高い傾向がみられた。以上から、本邦における卵巣癌では遺伝子増幅の頻度は低く、種々の癌遺伝子の発現は発癌過程で一過性に、それぞれが、発癌にとって必要な時期に亢進することが示唆された。 2.c-myc,K-ras遺伝子同時増幅を有する異なる2種類の細胞株の染色体in-situハイブリダイゼーションの結果、共通した所見として、増幅単位のひとつずつが同一の染色体上に位置した。しかし、機能的あるいは物理的距離に両増幅遺伝子の密接な関係はみられなかった。以上から、特定の遺伝子がエピゾームの形で増幅した後、増幅単位が再度ゲノム染色体中へとり込まれる機構は増幅遺伝子によらず共通していることが示唆された。 3.食道癌由来の細胞株の半数に癌遺伝子c-myc、erbB、bcl-lのいずれかの増幅がみられ、c-myc増幅は他との同時増幅が多く見られた。bcl-l増幅の頻度が最も高く、39%にみられた。bcl-lは染色体11q13領域にマップされており、この領域の増幅の標的遺伝子と考えられているが、発現の全く検知できない細胞株があり、近傍に発現の亢進している遺伝子が存在するのか、bcl-lの制御領域の異常によるものであるか、検討中である。 4.神経膠腫において、高悪性度の例でerbB遺伝子増幅が知られているが、遺伝子増幅よりもbasic fibroblast growth factor(bFGF)を介したオートクライン機構が腫瘍の悪性化に大きく関与していることが示唆された。さらに、bFGFに対する中和抗体を用いてbFGFのオートクライン機構を阻害することで、神経膠腫を臨床的にコントロールできる可能性も示された。
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