研究概要 |
1.マレック病(MD)発症関連領域のcDNAクローンの分離とその塩基配列解析:(a)マレック病ウイルス1型(MDV1)の感染細胞より抽出されたmRNAから作製したcDNAライブラリーより、MDV1の腫瘍原性の欠失に伴い変化するMDV1DNAのBamHI-H断片の132bpのdirect repeatとハイブリダイズするcDNAクローンを分離した。そのcDNAの塩基配列解析により、2つの読み取り枠(ORF)が認められた。(b)MD発症関連ゲノム領域である9.3kbの塩基配列決定により14個のORFを見いだし、現在そのコード蛋白を同定中である。 2.MDV1のワクチン免疫に関与する遺伝子解析:(a)MDV1-GA株の70%のUs領域と一部のIRs領域を含む8.9kbのDNA断片の塩基配列を決定した。9つのORFを見いだし、その内4個は単純ヘルペスウイルスのUS10,US3,US2,US6(糖蛋白gD)遺伝子とホモロジーをもつことを明らかにした。(b)このUS3遺伝子がプロテインキナーゼをコードすることを昆虫ウイルスベクターを用いて明らかにした。 3.組換え体MDV1ワクチンの構築:大腸菌lacZ遺伝子を22カ所のMDV1 DNAに相同組換えにより挿入させたが、4カ所が安定な挿入部位であることを見いだし、そのうち1の項で示したUS10とUS3の両遺伝子領域に挿入した組換え体MDV1は培養細胞で母株同様の増殖がみられ、in vivoでMDV1に対する防御能力を示した。 4.MDV2 DNAの制限酵素切断地図作成:MDV2 DNAのBamHI,EcoRI,XhoI切断地図を作成した。また、3つの血清型のゲノムはcollinearであることを示した。 5.MDV1の腫瘍原性株と非腫瘍原性株のPCR法による鑑別法の確立:MDV1 DNAの132bp領域をPCRの標的として、腫瘍原性株と非腫瘍原性株を鑑別する方法を確立した。
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