研究課題/領域番号 |
03454237
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
水澤 英洋 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (30144091)
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研究分担者 |
吉澤 利弘 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50212311)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 多系統変性症 / 嗜銀性封入体 / オリゴデンドログリア / ユビキチン / αBクリスタリン / 三価鉄 / Cu / Zn SOD / 酸化ストレス / αBクリスタル / 3価鉄 / ZnSOD |
研究概要 |
1.多系統変性症(MSA)脳の臨床病理学的研究:MSA6剖検例の詳細な神経病理学的検索により診断を確定するとともに、グリア細胞質内封入体(GCI)の詳細な分布を明らかにした。MSAの大脳皮質一次運動野に、GCIとは直接関係しない、特異的な層状のアストログリオーシスを初めてみいだし、さらに形態計測により小〜中型の神経細胞の減少を初めて明らかにした。 2.GCIの組織学的・免疫細胞化学的研究:GCI含有オリゴデンドログリアが、明るく大きな核を有し反応性である可能性を示した。さらに、ubiquitinのみならず、non-lysosomal ubiquitin系のマーカーとしてubiquitin C-terminal hydrolase、20S-および26S-proteasome、lysosomal系のマーカーとしてcathepsinの各々に対する免疫染色を行ったところ、GCIは、ubiquitin系のいずれのマーカーでも強く認識された。GCIの主は形成・分解系はubiquitin系であり、その主要な蛋白はきちんと存在していることが初めて明らかとなった。 3.GCIと神経細胞死との関係:培養オリゴデンドログリアとオリゴデンドログリア系ハイブリドーマを用い、MAS脳抽出液や髄液のGCI形成作用を検討し、そのような液性因子の存在する可能性は高くないことを明らかにした。さらに、オリゴデンドログリアが鉄代謝に、また鉄がフリーラジカル産生に関与することから、MSA大脳皮質一次運動野において、Perls染色でミクログリア・マクロファージに三価鉄が存在すること、免疫細胞化学的にGCIにferritin、Cu/Zn SODが存在することを初めて証明した。このことは、GCIが酸化ストレスを介して神経細胞死に関与している可能性を初めて示したものである。 4.GCIの構成成分についての生化学的研究:まず、GCIがユビキチン化されていることを指標に本封入体を部分精製し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にて検討した。約32KDと40KDの蛋白が、抗ubiquitin抗体と抗αB-crystallin抗体の両者で認識され、ubiquitin化されたαB-crystallinが本封入体の構成成分であることを初めて生化学的に示した。今後、さらに精製を行い、蛋白化学的に、あるいは特異抗体の作製によりGCI構成成分の完全解明を進める予定である。
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