研究課題/領域番号 |
03454248
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永井 良三 東京大学, 医学部(病), 助教授 (60207975)
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研究分担者 |
中原 賢一 東京大学, 医学部(病), 医員
西村 敬史 東京大学, 医学部(病), 医員
黒尾 誠 東京大学, 医学部(病), 医員
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1991年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 血管平滑筋 / 分化 / ミオシン / アイソフォーム / 遺伝子 / 増殖因子 / SM1 / SMemb / プロモーター / P19 / ミオシン重鎖 / 胎児型ミオシン / トランスジェニックマウス / Na^+ / H^+逆輸送担体 / 平滑筋 / PDGF / NaーH逆輸送担体 / 増殖 / 動脈硬化 |
研究概要 |
高血圧や冠動脈拡張術後の血管障害にともなって、平滑筋細胞は筋フィラメントの多い収縮型形質から、フィラメントの乏しい合成型形質へ形質を転換する。この際、平滑筋細胞は成体型から胎児型へ脱分化する。本研究では、実験的および臨床的な血管障害において平滑筋細胞の増殖と脱分化が病変形成のいずれの時期にどのような形で関わっているかを明らかにするとともに、平滑筋増殖に関与する平滑筋側の要因の解析、さらに平滑筋細胞の分化・脱分化の制御機構について検討を行なった。 まずウサギの平滑筋ミオシン重鎖アイソフォームSM1、SM2、SMembのcDNAを単離し、特異的アミノ酸配列から抗体を作成し、免疫組織染色に用いた。ウサギ大動脈のバルーニング障害では、障害後1-2週間で動脈内膜に胎児型平滑筋細胞が出現し、4週後には成体型に再分化した。一方、ヒト冠動脈は実験動物と異なり、出生後早期から平滑筋細胞が徐々に増殖し、肥厚した内膜を形成する。冠動脈の粥状硬化は肥厚内膜におけるSM1、SM2ミオシンの発現低下を初期変化とする部位に一致して発症すること、冠動脈拡張術後の再狭窄部では実験動物と同様にSMemb陽性の胎児型平滑筋細胞が増殖することが示された。 SMemb遺伝子はTATAboxを持たず、転写開始点から-100bp付近に最も重要なエレメントが存在した。このエレメントに特異的に結合する蛋白が存在することはゲルシフト法によって明らかとなった。一方、SM1遺伝子はTATAboxを持ち、E-box、Mef-2、Mef-3などの筋分化に重要なエレメントが存在する。これらのエレメントが実際に平滑筋細胞分化にどのような役割を担っているかは今後の課題である。 血管障害における平滑筋増殖を抑制するためには脱分化した平滑筋を再分化させることが重要である。今回我々は胎児癌細胞であるP19をレチノイン酸添加と神経系への分化阻害を行なうことにより、はじめてSM1陽性細胞に分化誘導することに成功した。これによって平滑筋増殖抑制と平滑筋特異的遺伝子発現機構をin vitroで検討することが可能となった。
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