研究課題/領域番号 |
03454267
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
和田 義郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (30004849)
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研究分担者 |
木戸内 清 名古屋市立大学, 医学部, 非常勤講師
杉山 成司 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (50150777)
小林 正紀 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (50170353)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 先天代謝異常症 / 有機酸代謝異常症 / カルニチン / アシルカルニチン / グルクロン酸抱合体 |
研究概要 |
1.有機酸代謝異常症の代謝動態および解毒機構の解析のための基礎をなすアシルカルニチンの自動定量分析法とグルクロン酸抱合体の合成法を確立した。平成4年度に有機酸グルクロナイド(D-グルクロン酸-1-0-Acy1誘導体)の合成法を新たに開発し(第112回日本薬学会、福岡)、プロピオニイルグルクロナイド、イソバレリルグルクロナイドおよびn-オクタノイルグルクロナイドの標品を合成した。この合成法の確立により極めて困難であったであった、様々な有機酸グルクロナイドの合成が可能となり、有機酸代謝のみならず、薬物代謝の動態解析の研究に幅広く応用できることになった。アシルカルニチンの自動定量システムはカラムスイッチ法の応用により、試料の前処理無しで120分以内に自動定量可能となった。また高感度分光光度計を採用することにより、FAB/MSと同程度な現在の感度をさらに10倍高感度化でき、また新型カルボン酸分析計を用いることにより約30倍の感度が得られることが明らかになった。 2.プロピオン酸血症とメチルマロン酸尿症のL-カルニチン補充療法では、カルニチン投与前は著しい低カルニチン状態を認め、尿中のアセチルカルニチンとプロピオニルカルニチンの排泄量は少なく、一方カルニチン投与後はプロピオニルカルニチンの尿中排泄量が著明に増加し、同時にアセチルカルニチンの尿中排泄量の増加を伴っていた。プロピオニルカルニチンとアセチルカルニチンの尿中排泄量の比がカルニチン投与量の評価に意味を持つことが示唆された。カルニチン投与量と血中遊離カルニチン値は一般的に相関するものの、中には低カルニチン状態であっても投与量不足と考えられない症例があり、投与量の決定には尿アシルカルニチン分析が必要であると思われた(第96回日本小児科学会、横浜)。特にアセチルカルニチンの動態についてさらに検討を重ねる必要がある。 3.胎児メチルマロン酸尿症例の組織中のアシルカルニチン分析により、尿中で微量検出されていたメチルマロニルカルニチンは組織中ではかなり蓄積していることを確認した(第96回日本小児科学会、横浜)。 4.ピバリン酸を側鎖に持つ抗生物質(cefteram pivoxil)の内服により著明な低カルニチン血症が発現するが、アンモニア、乳酸、ピルビン酸値の変動は明かではなく、ミトコンドリア機能異常を示唆する所見は得られなかった。しかし他剤との相互関係や代謝性基礎疾患との関係などが今後の課題となった(第96回日本小児科学会、横浜)。 5.有機酸グルクロナイドとカルニチン生合成の前駆物質であるγ-ブチロベタインの測定はLC/MSでは十分な感度が得られず、高感度の改良型カルボン酸分析計を用いてさらに検討が必要になった。
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