研究分担者 |
木村 通宏 順天堂大学, 医学部, 助手 (50234381)
野口 岩秀 順天堂大学, 医学部, 助手 (30237820)
南 雅之 順天堂大学, 医学部, 助手 (50229770)
岩本 典彦 順天堂大学, 医学部, 助手 (60211067)
一宮 洋介 順天堂大学, 医学部, 講師 (10184631)
河村 哲 順天堂大学, 医学部, 助手 (20204779)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1992年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1991年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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研究概要 |
本研究は,アルツハイマー型痴呆(ATD)の病因・病態の解明をめざし,視床下部を中心としてセロトニン作動系と神経ペプチドの相関を明らかにし,さらにセロトニン作動系の補充療法がATDの治療法として可能性があるかどうかを検討することを目的として計画された.ラット脳を用いた基礎的検討とヒト剖検脳における臨床生化学的検討を,高速液体クロマトグラフィー法と酵素免疫法による定量的測定と,免疫組織化学法による形態学的方法を併用して行った.その結果,脳内のセロトニン作動法と視床下部-下垂体-副腎皮質系(APA aixis)に関わる神経ペプチドの間で相互に関わっていること,とくにセロトニン作動系の伝達を増強させるとAPA axisが賦活されることが明らかになった.また,ATD脳ではコリン作動系ばかりでなく,セロトニン作動系や神経ペプチドの変化が確認されているが,今回の検討ではそれらの変化が初老期発症ATD症例で著しいことが明らかとなった.以上の所見から,選択的セロトニン再取り込み阻害薬がとくに初老期発症ATD症例の治療薬として期待がもてることが示唆された.また,このような薬剤の臨床応用に当たって,中枢のアミン類の変化を反映する有用な末梢のマーカーを探したが,血漿中の生体アミン類濃度はあまり役立たないことや,臨床効果の判定の際には薬剤の血中濃度にも十分配慮する必要があることが示唆された.ATD症例の治療というとコリン作動性薬剤だけが注目を浴びているが,セロトニン作動系をはじめとしてその他の作動系や,複数の作動系間の相互作用にも焦点を当てる必要があることが明らかになった.
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