研究分担者 |
清水 哲朗 富山医科薬科大学, 医学部, 助手
竹森 繁 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30227061)
前田 正敏 富山医科薬科大学, 医学部, 教務職員 (30143861)
本田 昴 (本田 昂) 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (40019914)
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研究概要 |
癌に対する温熱療法は第5の治療法として臨床の場で用いられているが,選択的な加温は困難なのが現状である.特に深部臓器ではその加温域を特定する事が難しく、正常組織に対する影響も無視できない.我々は以前よりデキストラン複合磁性体を用いた誘導加温法による選択的温熱療法(以下,HTと略)を研究,報告してきた.今回の研究では臨床応用を目指し,加温装置の改良および以下の研究を行った.1)現有の加温装置では臨床の段階では出力が不足し,また有効な加温のためには温度の自動制御が必須なため,装置を改良しパワーアップとコンピューターによる自動温度制御システムを完成させた.2)臨床例によく似た様々な深部臓器腫瘍モデル(肝,腸管,膀胱)を,ニュージーランド白色家兎とVX-2腫瘍を用いて考案,作成,HTを行い,抗腫瘍効果を検討した.加温方法は新たに腫瘍内投与,バルーン法および腔内投与法を考案した.1回のみのHTではあったが,肝および腸管腫瘍ではHTによる腫瘍の増殖抑制傾向が認められた.腸管腫瘍モデルでは治療効果は認められなかった.3)臨床の場では抗癌剤との併用による治療が行われるため,抗癌剤(MMC)との併用によるHTの抗腫瘍効果を,BALB/cマウスとMeth-A腫瘍を用いて検討した.抗癌剤併用群ではHT単独群と比較して担癌マウスの生存日数の延長が認められた.4)様々な部位の固形腫瘍の加温のために,デキストラン複合磁性体を封入したチューブによる加温法を考案し,その温度特性および加温域の検討を行った.封入体の配置,本数を変更する事により約4cm^2の領域を加温する事ができた.デキストラン複合磁性体を用いた誘導加温法は様々な選択的加温法が考えられ,今後の発展が期待された.臨床応用に向けてさらなる加温法の改良,併用療法の効果についての検討が望まれる.
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