研究分担者 |
荒木 光彦 京都大学, 工学部, 教授 (60026226)
堤 定美 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (00028739)
林 寿郎 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (90026089)
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
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研究概要 |
研究の結果以下のことがわかった. 1.血圧制御のための血管拡張剤として節遮断剤のtrimethaphanの他に,カルシウム拮抗剤であるnicardipineを使用した.その結果血圧の制御はコンピュータプログラム内の数このパラメータを変更するだけで可能であり,本質的にはわれわれの状態予測制御方式が特殊なものでなく,生体の内部環境の制御に広く応用できることが示唆された. 2.平均動脈圧の目標値は,以前の80mmHgからさらに低い60mmHgに設定して3時間維持し,血液ガスや肝機能,腎機能,血糖,カテコラミン,レニン,アンギオテンシンIなどを経時的に測定した.その結果,nicardipineを使用した場合には腎機能の進行性増悪,カテコラミンの増加,代謝性アシドーシスの進行などショック様所見を呈し,60mmHgという平均動脈圧がほぼ限界に近い(critical value)であることがわかった.一方,trimethaphanを使用した群では対照群と殆ど変わらず,人為的低血圧のためにはtrimethaphanのほうが格段にすぐれていることがわかった.以上の結果はこれまでに報告がない.本制御システムを使用して血圧を限界に近いレベルに維持してはじめて得られた知見である. 3.次ぎに家兎を用いて,大腿動脈にカテーテルを挿入,その他端を手術台より高くしたまま開放して出血モデルを作り,上記の血圧制御や輸液により出血や死亡率が低下するかどうかを調べた.またファジー制御を組み込んで種々の緊急事態に対応した.その結果,輸液により腎機能やアシドーシスは予防できるものの,予期に反して血圧制御や輸液により死亡率は減少させず,むしろ対照より高かった.即ちなお最適の制御が行われていないことを示し,引続き研究中である.
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