研究課題/領域番号 |
03454307
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
岩井 直躬 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90128695)
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研究分担者 |
柳原 潤 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (30158026)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1991年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | ヒルシュスプルング病 / 神経堤細胞 / 発生異常 / 胎生学 / ミュータントマウス / 先天性無神経節症 |
研究概要 |
ヒルシュスプルング病は、消化管神経節細胞の先天的欠如に起因する腸管の運動機能不全により重篤な腸炎や敗血症をきたす先天性疾患で、新生児・乳児期に外科的治療を要する代表的な小児外科疾患の一つである。本研究では、ヒト・ヒルシュスプルング病と同様の病態を有するとされるミュータントモデルマウス(lethal spotting strain;ls)を用いて、胎仔の発生期消化管神経叢に於けるNeural cell adhesion moleculeおよびL1分子等の神経系関連因子の発現過程を観察し、病態発生の進行過程について検討を行った。第8週ないしは9週齢以上にミュータントを成長せしめ、ホモタイプ(ls/ls)雌雄同士の交配によりミュータント胎仔(ls/ls)の採取を試みた。胎生10日、NCAMおよびL1分子に対する免疫反応性は、胃原基周囲に少数認められたが、ミュータント(ls/ls)及びコントロール群(ls/+およびC3H/HeN)間に明らかな相違は認められなかった。11日目には免疫反応性は十二指腸の領域にあり、コントロール群でわずかに豊富な免疫反応性が確認された。12日目での観察では、コントロール群で免疫反応性が十二指腸を過ぎてさらに十二指腸・空腸グループ内へ進行していたが、ミュータント群では免疫反応性は十二指腸近位部にとどまっていた。胎生13日目ではミュータント、コントロール群ともに免疫反応性は十二指腸・空腸ループを越えて遠位側まで観察された。胎生14日目ではコントロール群では免疫反応性は直腸肛門側まで到達したが、ミュータント群では後腸のS状結腸相当領域にとどまっていた。これまで哺乳類の胎生学的検討では遊走中の神経堤細胞に対する特異的マーカーが知られていないため、本研究ではニューロフィラメント等よりさらに発生初期の発生段階で発現している分子に対する免疫反応性を観察した。今回の研究によりミュータントマウス消化管原基における神経堤由来細胞の遊走不全には、神経堤細胞および細胞外環境間の遊走に際し何らかの協調不全が関与している可能性が明らかとなった。
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