研究概要 |
前立腺腫瘍シンチグラフィの臨床化の目的に基礎的検討を行っている。平成3年度研究実績報告書に記載した通り,全身オートラジオグラフィ用クライオスタットOT-SEA(平成3年度設備備品)の納品が大幅に遅れ本機器が使用可能となったのは平成4年2月であった。従って,平成4年度研究計画調書に記載した通り,平成5年度も引き続き本研究を遂行する。研究成果報告書は平成6年度に提出する予定である。 ヒト前立腺腫瘍の動物モデルに関しては,ヒト前立腺癌細胞株LNCaPを継代・培養の後,雄ヌードマウスに移植,担LNCaP腫瘍ヌードマウスを樹立し、現在継代中である。本LNCaP腫瘍は組織学的に低分化型腺癌に相当するが、ヒト前立腺に特異的な糖蛋白であるガンマ-セミノプロテイン(γ-Sm),前立腺性酸フォスファターゼ(PAP),そして,前立腺特異抗原を産生する。このことは免疫組織化学的手法により確認したが,さらに腫瘍ホモジネートを検体として測定すると,γ-Smで平均260.8ng/ml(N=7),PAPで平均146.9ng/ml(N=7)と極めて高値を示した。 抗PAPモノクローナル抗体(マウスIgG)にNa^<125>を加え,LPO法によりヨード化,ゲルフィルトレーション(G-75)の後,比活性49KBq/μgの標識化合物を得,実験に供した。0.2μmミリポアにより徐菌の後,1043KBq/30μgを担LNCaP腫瘍ヌードマウスの尾静脈より投与,投与後2,3,4,6、そして,7日目に全身オートラジオグラフィ(ARG)およびオートウェルガンマカウンタによる計測を行った。全身ARGの上では,投与後2,3,4日までは肝.腎など背景に活性が高いが,6,7日では背景の活性は低下するが腫瘍部の活性は持続するため,明瞭に観察された。臓器内放射能濃度(F値)は,3日で血液13.1,腫瘍33.6,肝5.8,腎9.3,6日で血液5.2,腫瘍7.7,肝4.0,腎3.8などであった。 放能性金属に関しては現在検討中である。
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