配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1992年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1991年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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研究概要 |
1.ヒトSPMIの局在について剖検より得られた精嚢及び前立腺液そして精巣、精巣上体、前立腺、精嚢、肝臓、腎臓の組織抽出液をそれぞれbiological assay,ELISA法にてSPMI濃度を測定した結果、精嚢においてのみ高濃度のSPMIを検出しSPMIは精嚢より分泌されることを明らかにした。精嚢液のbiological assayによるSPMI濃度は精漿中のそれより13.6倍高かった。しかしELISAによる精嚢液中のSPMI濃度は精漿中のわずか1.54倍であった。この理由は精嚢液が射出されるまでに前立腺液を含め他の副性器からの分泌液と混ざりSPMIが希釈されるだけでなく分解されSPMI活性が低下するのではと考えた。ブタSPMIの局在を免疫電顕法で観察しSPMIは精嚢上皮のapical surfaceのmicrovilliのみに局在していた。2.ブタSPMIの精製方法についてMolec Reprod Devel(31;55,1992)に発表した。ブタSPMIは14,16,18kDのポリペプチドからなる塩基性蛋白でpH6-11まで安定で熱にも比較的強いこと、SPMIの除膜精子の運動に対しての影響はMg.ATPの添加によって回復すること、dynein armの機能を障害することにより除膜精子の運動をブロックすることが判明した。3.男子不妊症患者の精漿中のSPMI濃度をbiological assayにて測定し運動率と比較検討した。精子濃度40X10^6/ml以上かつ運動率60%以上をもつsubfertile controlのSPMI濃度は324.4±188.1Units/ml(M±SD)で,運動率60-40%群,20%以下群はそれぞれ297.6±128.1,326.9±160.3,343.3±1314Units/mlと運動率とSPMI濃度とで相関関係を認めなかった。この結果は精子の運動が不良となる原因は精漿中のSPMI濃度ではなく精子細胞膜を介してのSPMIの関与が示唆された。4.精子運動不良(精子無力症)患者の精子細胞内抽出液中に精子の運動を抑制する因子の存在が運動率30%以下の症例では58%に見られたが今のところこの因子がSPMIと同一であるか不明である。
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