研究課題/領域番号 |
03454403
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大久保 仁 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (30014111)
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研究分担者 |
野崎 信行 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40237839)
石川 紀彦 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (60184488)
海老原 秀和 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90223669)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1993年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1991年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 中耳腔ガス代謝 / 空洞呼吸機能 / 炭酸ガス分圧 / 酸素分圧 / 粘膜ガス代謝 / 炭素ガス分圧 |
研究概要 |
大気圧の中耳腔換気は、中耳腔に独自のガス産生(呼吸作用)があり、この産生ガスが咽頭に排出する能動換気で行なわれなければならない、と言う仮説を約10年前に立てた。この中耳腔の呼吸作用は、散発的に報告される研究からも凡そ想像する事が出来たが、耳管から大気が侵入して中耳腔の換気が賄われると言う、補空説が大きな障害であった。そこで、我々は、鼓膜穿孔症例等で穿孔を通して中耳腔から気体が出ている事を外耳道の圧センサーで確認を行ない、今回の科学研究費で正常者及び鼓膜穿孔耳の中耳腔のガス組成を質量分析装置で検討した。 正常者のガス組成は、窒素;約83.7%、酸素;約9.2%、炭酸ガス;約6.2%(気体の%は、713mmHgで計算)を示した。しかし、鼓膜穿孔耳の中耳腔ガス組成は、酸素分圧が高く大気が拡散する事が想像され、鼓膜が穿孔する事は、中耳腔が非生理的ガス環境に晒される事が示唆された。そこで、正常者のガス測定値の経時的変化が数学モデルの非線形最小自乗法に最低2個の指数関数と定数項を当てはめると近似出来る事をつきとめ、この数学モデルから、鼓膜換気チューブ挿入耳や慢性穿孔性中耳炎等の予測最終値を推定した。結果は、鼓膜穿孔耳でも、正常値を満足する者、なお、酸素代謝機構が昂進する者等を推定する事が出来た。 以上の事から、大気圧環境で中耳腔が1気圧に調節される機構は、常に、中耳腔粘膜から産生されるガスで賄われている。そして、産生過剰となったガスは、中耳腔の気圧勾配を高め、嚥下運動に伴う耳管開閉(能動換気:dynamic aeration)で大気にガス放散を行なう。また、このガス代謝の機構は、中耳腔内圧を常に1気圧に維持して中耳の伝音機構に役立つと共に、酸素分圧が低い中耳腔のガス組成は、細菌学的に微好気性(micro-aerophilic Bacterium)環境を形成して細菌等の感染を防止する生理的な自己防御作用にも役立っている。
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