研究概要 |
1。HCS-2/8細胞のプロテオグリカン合成能の維持にIGF-IおよびIGF-IIの両者がオートクリン・パラクリン的な役割を果たしていること、IGF-IIの情報伝達が従来の報告とは異なり本細胞ではtypeIIレセプターを介することを明らかにした。 2。本細胞の増殖能の維持にbFGFがオートクリン的な役割を果たしていること、TGFβが増殖と分化の両者を促進することが明らかとなった。 3。HCS-2/8細胞がアグリカンのコア蛋白、II,XおよびXI型コラーゲン、IGF-IとIGF-IIおよびそれらの受容体、ビタミンD_3レセプター等の多くの軟骨分化関連遺伝子のmRNAを発現していることをノーザンブロットおよびRT-PCR法により明らかにした。なお、HCS-2/8細胞をアスコルビン酸(VtC)存在下で培養すると細胞が肥大化しアルカリホスファターゼ活性が著明に上昇し、そのmRNA量も約5倍に増加したことから、本細胞がVtC存在下で内軟骨性骨化の方向へ分化することが明らかになった。 4。21種のプロトオンコジーンの遺伝子発現をtotal RNAレベルのノーザンブロットで調べたところ、c-sis,c-met,c-src,c-lyn,c-fgr,c-ros,c-pimおよびBlymの発現は見られなかったが、int-2,erbB,c-abl,c-rat-1,c-fyn,,K-ras,H-ras,c-mos,c-myc,c-myb,c-fos並びにc-junの発現が認められた。特にc-fos、c-raf-1のmRNAレベルは、種々の軟骨分化関連遺伝子の発現から肥大化期と考えられるoverconfluentの時期に著明に上昇したことから、両遺伝子が軟骨細胞の肥大化に関連している可能性が示唆された。
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