研究概要 |
歯科における鋳造、研磨などの作業中に発生する微粒子の安全性を明らかにするために2種の市販Ni-Cr合金の鋳造で発生する蒸気を捕獲し成分を分析した。また、Ni-Cr合金粒子及びアクリル樹脂粒子のマクロファージ(Mphi)に対する毒性を調べた。 合金C(Ni59,Cr15,Co15,Mo7,Be1.2重量%)40g鋳造時発生するフュームにはMo29.0,Cr3.02,Be2.82,Ni1.48mug/フィルター他、または合金D(Ni65,Cr18,Mo10,Mn3,Al3,その他1重量%)35g鋳造時のフュームにはMo80,Al39.10,Cr3.62,Ni2.01mug/フィルター他が含まれていた。 合金フォーム及び粒子の培養マウスMphiへの投与により粒子は貧食され、細胞障害を与えることが走査型電子顕微鏡及びX線マイクロアナライザーで確認された。Ni-Cr合金の鋳造時発生するフュームには有害金属が含まれており、それらはMphiに対し毒性を示した。 PMMA粒子(平均粒径4.255mum)、200,500,1500mug/m〓投与90分でラットMphiは粒子を貧食し、1500mug/m〓投与による対照群に対する生存率は55.3%に低下した。粒子投与によりMphiからの活性酵素O_2^-の培地中への放出量が用量依存的に増加した。市販即時重合PMMAレジン(以下Os)硬化物から凍結ミルで作成した粒子もMphiに貧食され、1500mug/m〓投与群の生存率は44.4%であった。Os粒子投与によってもMphiからのO_2^-の放出量が増加した。アクリル樹脂粒子はMphiに貧食され、活性酸素の産生を増加させ、生存率を低下させた。 以上の結果から、歯科治療中に発生する粒子は生体影響の可能性があることが明らかとなった。
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