研究分担者 |
相良 正明 広島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (10253098)
橋本 正毅 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80189505)
和田本 昌良 広島大学, 歯学部, 助手 (70231040)
赤川 安正 広島大学, 歯学部, 助教授 (00127599)
久保 隆靖 広島大学, 歯学部, 助手
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研究概要 |
本研究では,新素材ジルコニアによるインプラント上部構造物の設計ガイドラインを提示するために,動物実験(実験1:ジルコニアインプラントの安静植立後における骨界面,実験2:上部構造物の相違が1回法ジルコニアインプラント・骨界面構造に及ぼす影響)により組織学的および形態計測学的検討を行った。 実験1:日本猿2頭を用い,抜歯後3ヵ月の治癒期間を経過した臼歯部に1回法ジルコニアインプラントを左右各2本ずつ植立し,3ヶ月の臨床的安静状態を確保した。その後頬舌側,近遠心側から各インプラント周囲組織の光顕観察と組織形態計測を行った。組織学的に全てのインプラントで直接的骨接触が達成でき,この様相は頬舌側と近遠心側でかなり異なることが明らかになった。 実験2:日本猿7頭を用い,実験1と同様にインプラントを植立し,以下の各実験群におけるインプラント・骨界面構造を比較検討した。すなわち,(1)インプラント単独群:右側近心インプラントに単冠を装着、(2)インプラント連結群:左側の2本のインプラントを連結、(3)天然歯連結群:右側遠心インプラントとその後方隣接歯を連結し1年例(4頭),2年例(3頭)の各インプラント周囲組織の光顕観察と組織形態計測を行った。観察期間を通じて,各群の全てのインプラントに動揺や脱落はなかった。組織学的には各群の全てのインプラント周囲に線維性結合組織は観察されず,直接的骨接触状態が良く維持され,3群間に差は認められなかった。骨接触率に関して,1年例ではインプラント単独群がインプラント連結群および天然歯連結群に比べ有意に小さかったが,2年例になると3群間の値に有意差は認められなかった。以上の結果より,ジルコニアインプラントにおいて,早期により確実な骨支持を獲得するには,隣接天然歯と連結した方がより好ましいことが示唆された。
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