研究概要 |
平成3年度は、開発した咬合力,負担圧測定システムを用いて,咬みしめ時の筋電図積分値から咬合力を算出して機能評価を行い,平成4年度は,購入した下顎運動測定装置により,高齢全部床義歯装着者の咀嚼筋の筋活動と下顎運動を測定,解析した。さらに,ピーナッツを試験食品として篩分法による咀嚼効率を算出した。 1.高齢義歯装着者の筋電図積分値より算出した推定咬合力値による旧義歯と新義歯の評価 咀嚼運動に近い速さの咬みしめ条件で得られた推定咬合力値は新義歯でいずれも上昇した。この所見から床下粘膜の負担圧が適正に配分された結果,より大きい咬合力が発揮されたものと考えられた。 2.全部床義歯装着者と正常有歯顎者における咀嚼機能の評価 筋電図学的咬合力測定システムにより,かまぼこ,グミゼリー,ピーナッツを咀嚼開始から嚥下終了まで筋活動量と咀嚼回数を測定した。全部床義歯装着者の方が総筋活動量,咀嚼回数ともに多く,かまぼこ,グミゼリー,ピーナッツの順に増加した。3食品間における1ストローク当りの筋活動量の変動係数は全部床義歯装着者が有意に小さかった。 3.下顎運動測定装置による筋電図と顎運動の解析 5名の被験者において,開閉口運動,側方運動経路はともに新義歯の方が安定し,垂直開閉速度も増加した。新義歯では,ピーナッツ咀嚼時の4筋のCoordinationが得られるとともに,咀嚼運動経路,咀嚼リズムの安定性が認められた。 今後は,筋電図学的咬合力測定システムと下顎運動測定システムを連結して,高齢義歯装着者の咀嚼能率と機能評価について解明して行く予定である。
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