研究分担者 |
卯田 強 新潟大学, 理学部, 講師 (80134914)
早川 嘉一 新潟大学, 農学部, 助手 (10018541)
吉田 昭治 新潟大学, 農学部, 教授 (80018530)
丸井 英明 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (10219545)
大木 靖衛 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (30223754)
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研究概要 |
日本列島で現在発生する地すべりのほとんどが,有史前(地質時代)に発生した古い大規模な地すべりの一部からの再活動であることは,日本でみいだされたオリジナルな学説である.これは,現在活動する地すべりの起源としての古い地すべり移動地塊の実体とその歴史を明らかにすることが,地すべり災害の予測と対策にあたっての重要な課題であることを意味する.にもかかわらず,この面での基礎的な調査と研究は著しく遅れており,また,地すべり災害の予測と対策にも有効に活用されていない. 本研究では,新潟県守門村の東野名地すべりをモデルフイールドとして,他地域の地すべりとも比較しながら,この課題の解明にとりくんだ.約200年前頃からつづく現在の東野名地すべりの大規模な活動は,古い初生的地すべり移動地塊の一部が再活動する2次地すべりであることが確認できた.初生的地すべり移動体は,面積2km^2,深度100m前後の巨大な地すべり移動地塊からなり,約5万年前頃に発生した.その後,確認できる限り3000〜6000年前(縄文時代)の活発な再活動期とひきつづく静穏期をへて,江戸時代から再び顕著な再活動期をむかえている.このように,東野名地すべりは,5万年以上の歴史のなかで,断続的に規模の大きな活動をくりかえしてきた. 現在の活動は,表層の地すべり崩積土での浅層地すべり活動と初生的地すべり移動地塊での深層地すべり活動が重なったものである.前者は慢性的,後者は数年おきの断続的な活動である.従来は,浅層地すべり活動に調査と対策の焦点が絞られていたが,今後,深浅両活動を総合した解析を進める必要がある.
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