研究分担者 |
永沼 充 NTT, 光エレクトロニクス研究所, 主幹研究員
岩岡 秀人 (株)テラテック, 第一研究部, 部長
村井 徹 東京大学, 工学部, 助手 (60107571)
中野 義昭 東京大学, 工学部, 助教授 (50183885)
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研究概要 |
1.利得結合分布帰還型(DFB)半導体レーザの理論的研究:標記レーザにおける結合係数の偏波依存性、線幅増大係数、非対称端面コーティングによる外部効率増大効果などにつき理論的研究を行ない、多くの有益な知見を得た。2.量子井戸利得結合DFBレーザ:凹凸回折格子を形成した基板上に単一量子井戸を有機金属気相成長法(OMVPE)により成長し、格子周期に同期して厚さの変化する単一量子井戸を得た。これにより利得結合が発生することを実験的に確認し、閾値30mA,隣接モード抑圧比(SMSR)47dBの高歩留り単一モード室温連続発振を達成した。3.InGaAsP/InP長波長帯利得結合DFBレーザ:OMVPEと反応性イオンエッチングを活用して、InGaAsP4元混晶レーザ活性層自体を凹凸回折格子とすることに成功し,標記レーザの作製が初めて可能となった。試作素子は閾値12〜16mAで室温連続動作し,SMSRは55dBという従来にない高い値を示した。同レーザのスペクトル線幅を測定し,共振器長600Mmの素子において,最低スペクトル線幅2.35MHzを得た。さらに利得スチッチング駆動により,時間幅28ps,時間平均スペクトル幅0.15nmという光短パルスを得た。これより等価的な線幅増大係数を計算すると0.76という著しく小さい値になる。また,2.4GHz強度変調時の-20dBスペクトル幅を測定したところ,これも0.2nmと小さかった。4.吸収性格子型利得結合DFBレーザ:吸収領域のデューディーファクタの最適値を理論的に決定した。また吸収領域の可飽和性に基づく非線型動作を抑制するために,吸収領域の導電型を反転することを堤案した。これらを多重量子井戸レーザに適用し試作を行なって,閾値電流8.5mA,微分効率0.8mW/mA,SMSR47dBなどの良好な特性を達成した。同レーザは,劈開端面にも拘わらず75%〜95%以上という非常に高い単一縦モード歩留りと,最低2.2MHz(共振器長200μm)という狭スペクトル線幅を示した。
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