研究概要 |
平成3年度に引きつづき以下の項目についての研究を行った。 1.高繰り返しナノ秒波長可変光源を用いた高感度エリプリメトリー AO-QスイッチYAGレーザー励起のチタンサファイアレーザーを開発し,近赤外域(700nm〜900nm)と近紫外域(350nm〜450nm)で波長可変かつ高繰り返し(〜10KHz)のナノ秒パルス光源を得た。この光源を用いてロックイン検出を行うことにより非線形偏光変化を10^<-4>ラジアンの感度で検出できるようになった。これを用いて半導体(cucl)の励起子非線形性の評価を行った。この結果は平成4年秋の物理学会で報告した。 2.ピコ秒パルス光源による時間分解非線形偏光分光法の開発 半導体の共鳴吸収域では光励起によってキャリアや励起子の蓄積が生じる。3次非線形性を正しく評価する為にはこの効果の評価と除去が重要である。そこで本年は,短パレス光を用いた測定法を重点的に検討した。モードロックチタンサファイアレーザーのピコ秒パルス又はサブピコ秒パルスを2つに分岐し,一方を円偏光(又は45゚直線偏光)励起光とし他方を直線偏光プローブ光とする。励起パルスで誘起された非線形な円2色性又は光学活性をプローブ光の偏光変化として検出する。この時,ポンプ光とプローブ光に遅延を設け,系の応答を時間軸上で評価した。ロックイン検出により偏光変化検出感度10^<-3>ラジアン以下,時間分解能0.5ピコ秒以下を達成した。この方法によりZnSe励起子共鳴での3次の非線形感受平の評価を行い10^<-2>esuに及ぶことを確認した。 以上の結果をもとに報文をまとめる作業を進めている。
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