研究分担者 |
藤沢 和夫 住友金属工業株式会社, システムエンジニアリング事業本部, 主任研究員
平尾 雅彦 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (80112027)
山崎 友裕 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (80230382)
戸田 裕己 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (10029556)
村上 芳則 筑波技術短期大学, 助教授 (90029497)
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研究概要 |
薄い鋼板の冷間圧延・再結晶集合組織によって発生する超音波伝ぱ速度の異方性と塑性異方性の指標であるr値を関連づけ,非接触音速測定を通じてオンラインr値計測の実現に向けて研究・試験を進めてきた. 基本対称モードの板波を用いた非接触・高速度の音速測定のために,異なるタイプの電磁超音波探触子をいくつか試作した.作動原理としてローレンツ力あるいは磁歪を利用するものである.このうち,電磁石で静磁場を鋼板の面内に発生し,蛇行型コイルで渦電流を励起・検出する方式のものが,最大板厚2mmに対して5mmのリフトオフでも十分な信号強度を示したため,これを採用した.電磁石は,板厚によって変化する磁化電流を最適化するのに必要である.この磁歪型電磁超音波探触子3対を圧延方向,45度方向,および幅方向に設置し,3方向の伝ぱ時間を高速測定した.平均r値は,較正曲線と平均伝ぱ時間から求めた.この測定方法について,研究分担者の所属する住友金属工業(株)の連続焼鈍ライン末端部で試験稼働を実施し,広い範囲のr値,板厚,鋼種鋼板の走行速度,振動,温度などに対する安定性や測定精度への影響を調査した.その結果,従来法である機械試験による破壊的なr値測定と比較して,最高400m/secで走行する鋼板に対して,20msec毎に面内の平均r値を0.1の誤差で測定できることを確認した.ただし,板厚と周波数(280kHz)に依存する分散効果,リフトオフとともに変化する電磁超音波探触子のインピーダンス,環境温度の3者については補正が必要である.以上の結果,当初の研究目的を達成し,鋼板の品質管理に役立つ超音波技術として発展するものと考えられる.
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