研究分担者 |
中村 良光 松下電工(株), 生産技術研究所, 技師長
楊 明 東京都立大学, 工学部, 助手 (90240142)
遠藤 順一 神奈川工科大学, 教授 (70016418)
渡部 透 立命館大学, 理工学部, 教授 (70026136)
山口 克彦 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (90027805)
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研究概要 |
本研究は塑性加工の中でも最も一般的な加工の1つである金属板材の曲げ加工をとりあげ,学習制御方式を導入し,精度とフレキシビリティのあるインテリジェントな加工システムを開発することを目的としている。新たに開発した変位制御に適した形状の金型を用いて,板材の変形状態をオンラインで測定し,これに基づいて被加工材の材質の推定を行い,上記制御用モデルを組み合わせて金型変位の制御を高精度に行った。さらに制御システムにニューラルネットを導入し,実際の曲げ角度と計算値との差から,ニューラルネットの最適化を行い,曲げ角度に対する精度向上をはかった。 (1)従来から実用的に使われているV形の金型に替わって,楕円形および円形形状の金型を用いて実験機で曲げ加工を行い,フレキシビリティが向上し,且つ精度が一桁以上向上することを確認できた。精度向上には,学習制御方式によるところが大きい。 (2)金型の動きにともなって,素材と金型との接触点は移動する。荷重(接触面の法線方向,接線方向)と接触点の移動を同時に測定し得るインテリジェントなセンサーを試作した。これを用いると,荷重の作用点(金型と素材との接触点),すなわち,加工中の曲げ角度が正確に測定できることが明らかになった。 (3)更に精度を向上するため簡単な塑性力学モデルでは正確に表現できないような部分に対してニューラルネットシステムを用いて表し,高精度V曲げ加工のための制御モデルの構築を試みた。すなわち塑性力学を基に材料特性などを同定し,他の入力信号と一緒にニューラルネットに入力することによって加工条件を決定した。このように力学モデルのニューロモデルを併用することによって,より正確かつ能率的な制御モデルを構築し得ることの可能性を見出すことができた。
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