研究概要 |
本研究では,表面があらくあるいは汚染された熱工学の実在表面の反射性質を研究するための新しい測定装置として,半球等強度入射半球反射率スペクトル測定装置を開発した。この装置は,2つの回転楕円体面鏡と1つの半透過鏡を用いる方式のものであり,0.35〜1.1μmの可視・近赤外の波長域で,半球等強度入射半球反射率R_<HH>,垂直入射半球反射率R_<NH>,斜め輪帯入射半球反射率R_<ObH>のスペクトルを測定する。この装置は,熱工学で重要な吸収率に直接的につながる反射率を求めることのできる最初の測定装置であり,また,いろつや計測への応用性を内包するものである。 この装置の有効性を検証するために,種々の砥粒で研摩しあらくしたガラス表面にアルミニウムを蒸着した拡散反射鏡,種々の砥粒で研摩しあらくした軟鋼表面について,反射率R_<HH>,R_<NH>,R_<ObH>のスペクトルを測定し,表面のrmsあらさやフラクタル次元が半球反射特性に及ぼす影響を系統的に調べた。 また,このような開発研究を支援するために,平行して,あらい表面のモデル化手法を提案しそこでのふく射の干渉回折特性を明らかにする理論研究を進め,あるいは,レーザを用いる2方向反射率測定装置を開発して,反射の詳細構造を調べる実験研究を行った。 装置開発研究における今後の課題として,波長域を赤外側に拡張すること,併せて半球透過率も測定できる機能を与えること,測定の高速化を進め表面の過渡現象の測定を可能にすること,実在表面のふく射性質を系統的に記述する理論を開発することが拳げられる。
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