研究課題/領域番号 |
03555085
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
計測・制御工学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山藤 馨 九州大学, 工学部, 教授 (90037721)
|
研究分担者 |
池崎 秀和 アンリツ(株)研究所, 第3研究部, 研究員
林 健司 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (50202263)
荒木 啓二郎 九州大学, 工学部, 助教授 (40117057)
都甲 潔 九州大学, 工学部, 助教授 (50136529)
末崎 幸生 佐賀医科大学, 教授 (80069484)
緒方 惟昭 産業医科大学, 衛生技術短期大学, 助教授 (00194423)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
1992年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1991年度: 8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
|
キーワード | 脂質膜 / 高配向 / LB膜 / 化学物質 / 化学感覚 / 味 / 化学センサ / センサ / 匂い |
研究概要 |
生物の化学感覚が有する高い能力を実現するには、高い配向性を持った脂質膜を構成することが必要である。自然界に存在する様々な種類の化学物質を受容し、情報処理する。高感度高識別能なセンシングシステムを生物は既に持っている。高い能力を有する化学センサを構築するにはまず、トランスデューサ部に生体膜に近い構造の脂質膜を用いることが必要である。多くの匂い物質や苦味物質が生体膜の脂質2分子膜構造を乱すことによって受容されている。これまでに用いてきた表面電位検出型の脂質膜トランスデューサでは上記の物質を検出することは困難であった。この欠点は脂質分子を高い配向性で構築した脂質膜を用いることにより解決される。本研究では、申請設備備品のラングミューア・ブロジェット膜作製装置を用いて、配向性が優れた脂質膜(LB膜)を貼り、この電極の特性を調べた。以下の事実が明かとなった。 1)5基本味を呈する味物質に対する膜電位に応答は、それぞれの種類の味物質に対して明瞭に異なっており、この結果から、5つの味をLB膜で識別できることがわかった。 2)応答の閾値は、苦味や酸味物質では約1uM、塩味物質では約0.1mM、甘味物質では約1mM、うま味物質では約10uMであり、これは生体系よりもかなり低い濃度であった。つまり、LB膜を受容部に用いた味覚センサは、人よりも高い感度を持ち得ることが示された。 3)非電解質である甘味物質に対しても、1mMという低濃度から応答が観測され、LB膜が非電解質に鋭敏に応答することが示された。 更に、感覚認識の新しい方法として非線型ダイナミクスを利用することを試みた。 4)適当な方法で膜系を構成すると、ある条件下でカオスが観測されるが、味物質の膜系への投与によりアトラクタが物質の種類に応じて構造変化することが見いだされた。カオスを用いることで、膜の状態に関するより多くの情報が得られることが示唆された。
|