研究分担者 |
神田 信之 (株)東京計測, 技術部, 部長
山本 晃一 建設省, 土木研究所・河川研究室, 室長
佐藤 行成 日本科学工業(株), 開発部長
太田黒 俊夫 計算流体研究所, 主任研究員
神田 学 東京工業大学, 工学部, 助手 (90234161)
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研究概要 |
1 目的:実際の水路流は乱流であり,流れの作用である物質(土砂や汚染物質)輸送や拡散あるいは河岸・河床の洗掘の解明には,乱れの構造とくに三次元的大規模構造の作用を把握することが重要である.この観点から多くの研究が積み重ねられて来た.しかし,これらの実験的研究はほとんど実験室規模の小スケール,低レイノルズ数域でのものである.しかも,多くの場合の実験は一点ないしは数点での計測のため,統計的平均像に関して行われて来た.本研究は.室内実験水路流のみならず,洪水時の現地実河川の流れの乱れの実態を解明するために,計測機器および計測法を開発すること,こうして得られる疎らな点での計測データから乱れの瞬間的三次元構造を構築する解析法を確立し,実河川にこの方法を適用することを目的としている. 2 方法:(1) 計測法の開発 洪水時の高流速の流れの中でも充分の強度をもち,かつ応答性の高い計測器である電磁流速計の機能を拡張し,二成分(x,z軸方向)四点同時計測可能な装置を二台(一台は土木研究所で購入)試作した. (2) 三次元流速場の逆推定法:上記の試作電磁流速計を用いて得られる流れの横断面内の8点の同時連続流速時系列をTaylorの凍結乱流仮説により(x.y.z)場に変換し,これを仮想荷重法により三次元場全体に内挿し,さらにこの第一次推定値を変分原理により連続の方程式を満たすように修正(MASCON法)する. 3 結果:茨城県涸沼川において,1991年と1992年の二回にわたり洪水時のピーク流量時に現地観測を行い,洪水時の乱流の多点同時計測法を確立し,また実スケール高レイノルズ数の乱流の瞬間像として,流下方向の強い渦・ボイルと呼ばれる激しい上昇流の存在などを明らかにした.
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