配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1991年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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研究概要 |
地下街歩行者の追跡調査により,通路幅や通路のつながり方が経路の選択行動にかなり影響すること,および地下街のサイン計画に整合性がないことを明らかにした。また地下空間の開発事例や災害事例の調査から,その問題点を指摘した。次いで階段の歩行上昇実験を行い,上方歩行避難が可能な限界が地下7階程度までであることを明らかにした。以上の結果をもとに大深度地下モデル空間を対象とした避難シミュレーションを実行し,同規模・同階数であれば地上空間よりも地下空間のほうが火災時の人的被害が大きいという一般的な傾向を明らかにした。また,地下階数が7階程度までの「階段歩行による上方避難が可能な場合」には,出火階が地下深くなるほど,避難に有効な階段に誘導することが最終生存率の向上に有効であること,最終生存率は避難開始時刻,フラッシュオーバータイム,防火戸の開閉状態に大きく依存し,地下8階より深い「階段歩行による上方避難が不可能な場合」は,篭城区画を適切に配置することが,安全化の現実的かつ有効な手法であることが明らかになった。シミュレーション結果から,地下7階程度までは避難階段の構造を踊り場等の水平部分が非常に長い特殊な形態にすること,防火・防煙区画の信頼性をより高めることなどにより,現在の防災技術でも安全性を確保できる見通しがあるが,それ以深では経済的に見合わない大きな篭城区画を確保する必要があることが明らかになった。また,現時点では大深度地下における人間の心理状態がほとんど解明されていないこと,有効な消防・救助手段がないことから,大深度地下空間の開発は慎重に検討すべきであり,やむをえず開発する場合も公共性がきわめて高く,かつ不特定多数の人が利用しない一部の用途に限定すべきである。
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