研究概要 |
炭化ジルコニュウム(ZrC)の微粉末試料を400〜500℃、酸素分圧4〜16kPaで部分酸化すると六方晶ダイヤモンドを微量にち含む炭素がZrO_2と共に生成することを見いだした。従って、このZrCの部分酸化を利用することによってダイヤモンド-ZrC複合材を作製し、さらに、この手法を他の炭化物へ適用すると標題の研究へと展開できるので、ダイヤモンドを含む炭素の析出過程を検討すると共に標題の研究を遂行した。その結果、次の知見が得られた。 1.FZ法で育成したZrC単結晶を(100)で切り出し、その研磨した鏡面を酸素分圧2.6kPa、温度500,550,600℃で酸化した。酸化試料の切断面の電子顕微鏡観察、EPMA分析の結果、生成層としてZrCに密着して炭素を多量に含む密なZrO_2の層とクラックが多数入ったZrO_2層の2層が生成することが分かった。前者における炭素量は30〜100mol%にも達した。 2.この炭素が析出したZrO_2層の厚さは時間によらず一定で、500,550,600℃で、それぞれ、1,2,3μmとなった。 3.HfCの微粉末試料を480〜600℃で酸化した結果、HfO_2と共にi、またはアモルファスカーボンが生成したのでHfCの場合もダイヤモンドの生成の可能性が考えられた。そこで、HfC単結晶をZrCの場合と同様に酸化した結果、HfCに密着した炭素を多量に含むち密なHfO_2層が生成し、その厚さは温度、酸素分圧によらず一定で2〜5μmであった。 以上の結果から、ZrC,HfCを酸化すると厚さが1〜5μmの炭素を非常に多く含む酸化物層が生成することが明かとなった。この層中の炭素を電子線回折法で同定すべく試料の作製を行ったが、極めて硬い炭化物結晶と非常に柔らかい炭素を含む酸化物層とのイオンエッチングの度合の大きな差により試料作製は困難を極め末だ成功していない。この電顕用試料作製の成否が上記の層中におけるダイヤモンドの生成を決定できる重要な鍵となるので、現在、鋭意試料作製を続行している。
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