研究概要 |
エタノール存在下,活性炭に塩化鉄(III)を担持した触媒を用いてフロンとしてCFC-112およびCFC-113(CFCs)を分解すると穏和な反応条件でCOとCO_2に分解することが出来たことから,CFCsの接触分解反応における触媒の活性の持続性の向上および反応中間体の確認と分解機構について検討し,その有効利用の可能性について考察した。 (1)触媒活性の持続性の向上いろいろな金属ハロゲン化物を活性炭に担持した触媒を用いるCFC-113の分解で,PdCl_2,FeF_3に比較して,より高い活性が認められたことより,FeF_3,FeCl_3に助触媒としてCuCl_2を加えた触媒をそれぞれ調製して接触分解反応を行なった。その結果,助触媒であるCuCl_2の添加効果は極めて顕著で,長時間に亙って活性は持続し,実用化に明るい展望を持つことが出来た。 (2)接触分解反応機構CFCsは構造が複雑であることから,基質に構造の単純な四塩化炭素,CCl_4,を選び,エタノール存在下での分解反応を試みた。また,この場合,反応中間体をより確実に捕捉するため,急冷装置を取り付けた反応装置を試作して用いた。生成物中に中間体であるエチルクロロホルメートがかなりの高い収率で含まれることが見いだされた。この結果,次に示す反応機構を確認した。CCl_4+FeCl_3=CCl_3^++FeCl_4^-----------(1)CCl_3^++C_2H_5OH=CCl_3OC_2H_5+H^+----------(2)CCl_3OC_2H_5=COCl_2+C_2H_5Cl----------(3)COCl_2+C_2H_5OH=ClCOOC_2H_5+HCl----------(4)ClCOOC_2H_5=CO_2+C_2H_5Cl----------(5)また,CFC-113の分解でOF_2ClCOOC_2H_5の生成を確認した。さらに,接触分解反応における自由エネルギー変化を計算し,反応の理論的裏付けを試みた。
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