研究概要 |
1.研究目的 この研究は,換気しても産物表面に結露することなく低温高湿度の維持が可能で,冷風はもちろん温風と温水が得られる二元調湿換気式冷蔵倉庫を開発する一方で,貯蔵前の殺菌処理技術を確立して,本方式と高湿度冷蔵技術の実用化を図ることを目的とする. 2.研究計画 1)建屋,冷蔵室,温風または温水が得られるヒートポンプ,全熱交換型空調換気扇および超音波加湿器からなる二元調湿換気式冷蔵倉庫のシステム設計を行う.これに差圧通風予冷の機能を持たせる. 2)超音波加湿器と全熱交換型空調換気扇を組合せた加湿・制御方式を開発する. 3)冷蔵室はカビの繁殖に対応し易くし,本方式を建設する. 4)空気の冷却,加熱,加湿,換気および水温上昇性能を測定する. 5)青果物の貯蔵前の殺菌処理の効果を知るため,イチゴには真空処理を,サツマイモにはマイクロ波または温風で加熱処理した後に本方式で貯蔵し,その間の品質変化を測定する. 3.研究成果 1)本方式による冷蔵倉庫を2棟建設した.面積はいずれも2坪型で,一方は冷風と温風が得られるシステムIであり,他方は冷風と温水が得られるシステムIIである.システムIは1.5時間で1℃まで冷却された時,成績係数は5.5で,また1.5時間で45℃まで加熱された時,成績係数は5.3と高成績係数が得られた.システムIIは,1時間で0℃に冷却される間に,200lの水が2時間で20℃から45℃まで昇温した.そのときの成績係数は4.4であった. 2)加湿器と換気扇のタイマ制御で95%RHが得られ,最適作動時間が決定された. 3)冷蔵室は農業用フィルムで制作するだけで,相対湿度の変動は±1%と少なくなり,換気しても結露しない状態が得られた. 4)イチゴは本方式によれば目減りも少なく40日間貯蔵できた.サツマイモは貯蔵4箇月後のカビ菌の培養から,マイクロ波40秒処理が最も有効であった.
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