研究課題/領域番号 |
03556040
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
唐木 英明 東京大学, 農学部, 教授 (60011912)
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研究分担者 |
馬替 純二 東京工業大学, 生命理工学部, 講師 (60199643)
塩田 邦郎 東京大学, 農学部, 助教授 (80196352)
伏谷 伸宏 東京大学, 農学部, 教授 (70012010)
堀 正敏 東京大学, 農学部, 助手 (70211547)
尾崎 博 東京大学, 農学部, 助教授 (30134505)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
16,300千円 (直接経費: 16,300千円)
1993年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1992年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1991年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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キーワード | 脱リン酸化酵素 / 細胞骨格 / 平滑筋細胞 / 阻害剤 / ホスファターゼ / 平滑筋 / 海産毒 / ホスファタ-ゼ |
研究概要 |
我々は、まず始めにオカダ酸、カリクリンA、ミクロシスチンLRならびにト-トマイシンといったホスファターゼ阻害剤のホスファターゼ阻害作用を詳細に比較検討することで、それらを研究試薬として使用する場合の基礎を築いた。その結果、これらのホスファターゼ阻害剤は全て1型または2A型のセリン/スレオニン-ホスファターゼしか抑制せず、2B型および2C型ホスファターゼやセリン/スレオニン-ホスファターゼ以外のホスファターゼには無効であることを明らかにした。さらに、オカダ酸とミクロシスチンLRは、低濃度では2A型のホスファターゼだけを選択的に阻害し、高濃度で1型と2A型の両者のホスファターゼを阻害するのに対して、カリクリンAとト-トマイシンは1型および2A型に対する選択性はなく、どちらも同じ濃度域で抑制することを明らかにした。 次に、ホスファターゼ阻害剤を研究試薬として用いることにより、種々の生理作用に対するホスファターゼの役割について検討した。 平滑筋の収縮に関与するホスファターゼを同定するために、各種平滑筋から抽出したホスファターゼに対する、オカダ酸とカリクリンAの阻害作用を比較した。その結果、オカダ酸とカリクリンAの50%抑制濃度は、1型ホスファターゼに対する抑制作用に類似しており、平滑筋の収縮を制御しているホスファターゼは、阻害剤の感受性からは1型ホスファターゼに類似した性格を持つことを明らかにした。 種々のイオンチャネルはチャネル蛋白のリン酸化によって制御される可能性が知られているが、我々は、平滑筋の電位依存性L型Caチャネルが、カリクリンAにより活性化されることを明らかにし、平滑筋における電位依存性Caチャネルの開閉が、チャネル蛋白のリン酸化によって制御される可能性を示唆した。 我々は、培養平滑筋A10細胞や、線維芽3T3細胞において、カリクリンAが投与後数分以内に細胞の円形化、多数のブレブの出現、基質との接着の解離、細胞の断裂、細胞死などを引き起こすことを見いだした。これらの変化は蛋白リン酸化酵素阻害剤により抑制されたが、Caに対する依存性はなかった。これらの成績は、蛋白質のリン酸化と脱リン酸化が細胞骨格の維持にとって重要な因子であることを示唆する。 現在では、オカダ酸、カリクリンA、ト-トマイシンの3種類は、我々の努力もあり、国内で既に発売されている。また、ミクロシスチンLRも外国の企業から発売され入手可能となり、ホスファターゼ側からの様々な生体反応の解析が行われるようになった。
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